欧州危機“バクハツ”寸前!迫られるドイツの決断

2011.10.01

 ユーロ危機がいよいよせっぱ詰まってきた。中国・大連で先月、開かれた世界経済フォーラム(夏季ダボス会議)で、温家宝首相が「欧州を助ける用意がある」と発言、中国の外貨準備資金に頼らなければならないほど状況が悪化しつつあることが明らかになったからだ。

 そうこうするうち、今度は欧州経済誌「エコノミスト」(9月17日付)が「ユーロをどう救うか」と題した社説を発表、いまや中国支援をあてにするような段階ではなく、ユーロ崩壊という世界レベルの危機が迫っていると警告している。

 同誌がいう救済法とは、ギリシャの債務不履行はもう避けられず、ギリシャだけの債務再編に乗り出し、スペインやイタリア、ポルトガルなど他の火の手があがりつつある財政危機国については欧州中央銀行を通じて無制限に支援すべきといった内容だ。

 要は、助かる見込みのないギリシャを切り捨てて危機を封じ込めようというわけだが、問題はその成否が欧州最大の経済大国、ドイツ次第という条件がついている点だ。

 ユーロ危機には常にドイツ問題が横たわっている。2度の世界大戦の主要な舞台となった欧州では戦後、「欧州統一プロジェクト」の一環として欧州連合(EU)が組織され、続いて共同通貨「ユーロ」が誕生した。

 だが、加盟国それぞれの主権を残したままの国家連合は大きな矛盾を抱えている。例えば外交や財政政策。それぞれの国の国益と欧州全体のそれが合致すれば問題はないのだが、合わないとなると何もできなくなるからだ。国際連合の場合、さらに緩やかな集まりなので死活がらみの問題には無力だ。

 「ユーロ」の場合、加盟国全体のための為替・財務政策を考える欧州中央銀行が一応存在するが、あくまで意見調整のような役割でしかない。今回のギリシャ問題でも、連鎖的に債務問題が他の国に広がってユーロ暴落を引き起こす可能性が強いため、欧州中央銀行としては無制限の支援に乗り出したいのだろうが、その資金の大半を拠出するドイツは納得できない。

 そもそもドイツ国民は借金だらけの国に何の保証もないまま貸し出すことに大反対なわけで、ドイツのショイブレ財務相は無制限支援という考え方に予想以上に慎重だ。

 つまりユーロ危機は来るところまで来てしまった。ドイツやフランスが音頭をとって支援を約束、ギリシャ破綻を先延ばししてきたこれまでのやり方はもう通用しないというわけだ。

 とすると最悪の事態に備えなければならない時期に入ったのかもしれない。ギリシャの債務不履行に続いてユーロ解体が始まれば、その先には世界規模の金融破綻がやってくる。そうした不安を反映して、最近では巨額の投資資金が新興国から逃げ出しているという。

 この危機を救えるのは冒頭の中国やブラジルなどではなく、結局は欧州、とりわけドイツがどう決断するかにかかっている。それだけは間違いなさそうだ。

 ■前田徹(まえだ・とおる) 1949年生まれ、61歳。元産経新聞外信部長。1986年から88年まで英国留学。中東支局長(89〜91年)を皮切りに、ベルリン支局長(91〜96年)、ワシントン支局長(98〜2002年)、上海支局長(06〜09)を歴任。

 

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