新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」(推定射程2500〜4000キロ)を「発射待機状態」と威嚇する北朝鮮。25日には朝鮮人民軍創建記念日を控え、予断を許さない状態が続いている。金正恩第1書記が恫喝姿勢を崩さず、発射を断行すれば、米韓連合軍との有事は避けられない。連合軍の戦力は独裁国家を圧倒するものの、唯一懸念されるのは北の奇襲だ。専門家は「北の特殊部隊が地下トンネルから韓国領内に攻め込んでくる」と危険視する。
ミサイルの応酬が事実上の号砲となり、朝鮮半島は一気に戦場と化す。
戦闘の初期段階で韓国が最も警戒するのは、朝鮮人民軍が北側から韓国に向けてひそかに掘り進める地下トンネルだ。
北朝鮮情勢に詳しい「コリア・レポート」編集長の辺真一氏は「1970年代に、韓国領内に侵入するための地下坑道が4本発見された。現在、これ以外のトンネルも掘り進めているとみられる。ここを足がかりに朝鮮人民軍は韓国に向けて『南進』していくはずだ」と指摘する。
複数の消息筋によると、こうした「南進トンネル」は、南北の軍事境界線「38度線」付近に全部で20本以上あるとされる。
北朝鮮は、市街地の地下に迷路のような地下要塞を建設。有事になれば正恩氏は、米韓連合軍の空爆を避けるため、「モグラのように地下に潜り、全軍の指揮を執る」(韓国国防省関係者)とみられる。地下深く潜行した独裁者はどんな一手をとり、部隊を送り込んでくるのか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「(地下トンネルから)奇襲する第1陣はおそらく『第8軍団』という特殊部隊だろう。その数は米陸軍特殊部隊『グリーンベレー』の約5万人に対し、約12万人に及ぶ」と話す。