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「この国で最も遠慮深いのは食堂の料理人だ。客が『一緒に食べよう』と言っても決して口にしない」
今、中国で流行しているジョークだ。料理人が客の申し出を断ったのは、遠慮したのではなく、自分が作った料理がいかに危険かを知っているためである。
どれだけこの国で、食品の偽装や汚染が深刻化しているかをよく物語っていると言える。
先ごろは、江蘇省でネズミやキツネを羊肉に偽装していた精肉業者が摘発され、国際的なニュースとなった。
ところが、それらの偽装羊肉を食べたかもしれない中国人の反応は、意外と冷めたものだった。「何の肉を食わされているか分からない」という諦めに似た覚悟を常に抱いているからであろう。
今年3月にはあるニュースサイトが、浙江省杭州市内で「牛肉製品」として販売されていた8食品をDNA検査したところ、そのすべてから豚肉のDNAが検出され、うち5食品には牛のDNAが含まれていなかった−と報じた。
そんなレベルなのだ。
食品偽装は家庭でも行われている。中国のスーパーでは「牛肉精粉」なる魔法の粉が売られていて、これは合成着色料と化学調味料の効能により、豚肉にかけると見た目も味も牛肉そっくりにしてくれるというシロモノだ。
数年前からは、下水を精製して作った食用油「地溝油」の流通が社会問題になっている。



