海外からの毒食品の流入を水際で食い止めるため、防波堤となるのが検疫所によるモニタリング検査だ。
厚生労働省の「輸入食品監視統計」によると、2011年度には輸入食品などに関して1257件の食品衛生法違反が発覚し、積み戻しや廃棄などの措置がとられた。
しかし、食糧問題研究家の小倉正行氏によると、「検疫所が行う輸入食品のモニタリング検査の実施率は、全量の2・8%程度に過ぎない」という。
さらに、ウイルス検査に至っては生食用の貝類以外、行われていないのが現状だ。
日本は、鶏肉消費量の約10%を中国から輸入しているが、鳥インフルエンザウイルスに関しても無防備なままである。
また、試験検体以外は、検査結果を待たずに検疫所を通過するので、問題が発覚したときにはすでに国民の胃袋に入っていることになる。
「ザル」という言葉が浮かんでしまうほど、心許ない検疫検査体制。こうした現状を生み出した背景について、厚労省検疫官を務める木村盛世氏はこう話す。
「日本は、カロリーベースで食品の約6割を輸入に頼っているが、輸入食品の水際検査を行う食品衛生監視員は、399人のみ。しかも、検査機能を備えるのは横浜と神戸の検疫所だけ。マンパワーとインフラが絶対的に不足している」
ちなみに、木村氏自身、「中国産食品は絶対買わないし食べない」という。食の安全に関わる人物がこういうのだから、これ以上の警鐘はないだろう。
「検疫検査の業務を民営化し、中国をはじめとする主要な輸入相手国に人員を配置して監視と情報収集に当たらせなければ、食の安全は守れない」というのが、木村氏の持論だ。
しかし、都内で中国産の輸入食材店を経営する男性が明かすところでは、検査を完全に回避するルートすら存在する。
「日本で流通している中国食材のうち、大して量がさばけないようなものは、ハンドキャリー業者によって中国から飛行機の手荷物扱いで持ち込まれたり、個人名義の国際小包で送られてくる。腸詰めとかピータンとかね。こうすることで検疫検査だけでなく関税からも逃れることができるからね」(男性)
まさに抜け穴だらけ。
中国の毒食品は、隙間から水が染み出るかのごとく、確実に日本の食卓に入り込んでいる。
■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県生まれ。上智大経済学部卒。2004年に渡米、出版社・新聞社勤務を経てフリーに。07年から中国・広州で取材活動を開始。08年に帰国し、中国の社会問題を週刊誌などで執筆中。著書に『週刊SPA!』誌上での連載「中華人民毒報」をまとめた『中華バカ事件簿』(扶桑社)など。
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