【要警戒 韓国の軍事力】対日戦を想定した軍事力増強を公言 海軍の戦力拡充は脅威

2013.10.10

★(3)

 これまで陸軍中心だった韓国軍は近年、空軍および海軍の戦力拡充に努めている。「陸海空3軍の均衡発展」なる軍改革によるもので、とりわけ海軍力の近代化には目を見張るものがある。

 釜山に作戦司令部を置く韓国海軍は、3個艦隊(東海、平沢、釜山に1個艦隊ずつ配置)と、3個戦団(航空部隊、潜水艦部隊、対潜部隊・特殊部隊など)、海兵隊(2個師団)を主力とする約7万人の組織であり、艦艇は約190隻。

 内訳は、駆逐艦11隻、フリゲート艦9隻、潜水艦12隻のほか、小型の沿岸警備用哨戒艇や哨戒艦が多数を占める。隻数では141隻を保有する海上自衛隊を上回るが、総トン数は19・3万トンしかなく、海上自衛隊の45・2万トンの半分以下でしかない。

 一方で、1980年代以降、国産艦建造を段階的に進め、高度な電子機器と強力な武器を備えた新型ハイテク艦を次々と就役させている。2020年までに、7000トン級イージス艦6隻、5000トン級の新型駆逐艦5隻、強襲揚陸艦2隻などで構成される「戦略機動艦隊」を創設する計画という。

 潜水艦戦力の拡充にも力を注ぎ、06年には、従来保有していたドイツ製の通常型潜水艦よりも、水中航行時間が長い「KSSII型潜水艦」の国内建造に成功した。20年までに9隻建造するというが、そうなれば、韓国潜水艦の総数は計18隻となり、海上自衛隊の潜水艦戦力と肩を並べる(ただし海自は22隻体制に移行する計画)。

 「自由と民主主義」という価値観を共有する隣国同士、日韓両国は手を取り合っていきたいものだが、韓国海軍の艦船や潜水艦の名前には、日本に対するむき出しの敵意を感じざるを得ない。

 全通甲板を持つ強襲揚陸艦は「独島」(日本固有の領土『竹島』の韓国名)と命名。最初のイージス艦に付けられた「世宗大王」は、15世紀に長崎県・対馬を侵略した国王である。

 08年に登場したKSSII型潜水艦の3番艦には、初代内閣総理大臣、伊藤博文を暗殺したテロリスト「安重根」の名が付与された。今年8月に進水した最新鋭潜水艦には、これまた抗日独立運動家「金佐鎮」の名前が付けられた。

 現時点で、潜水艦戦力では韓国海軍は海上自衛隊にははるかに及ばない。東西冷戦期に、米海軍とともに強大なソ連海軍と対峙し、腕を磨いてきた海上自衛隊は、米海軍に次いで世界第2位の実力を誇っている。

 ただ、朝鮮日報(11年9月28日)によれば、韓国は15年までに鬱陵島にイージス艦が停泊できる海軍基地を新設するという。海上自衛隊より早く竹島に到着するためで、3520億ウォン(約317億円)という巨費を投じるという。

 これは、韓国が事実上、対日戦を想定した軍事力増強を公言したということである。韓国にとって、日本は仮想敵国の1つだったのだ。

 ■井上和彦(いのうえ・かずひこ) 軍事ジャーナリスト。1963年、滋賀県生まれ。法政大学卒。軍事・安全保障・外交問題などをテーマに、テレビ番組のキャスターやコメンテーターを務める。航空自衛隊幹部学校講師、東北大学大学院・非常勤講師。著書に「国防の真実」(双葉社)、「尖閣武力衝突」(飛鳥新社)、「日本が戦ってくれて感謝しています−アジアが賞賛する日本とあの戦争」(産経新聞出版)など。

 

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