それにしても「囚人のような生活を強いられた」とは、実態無視の“ファンタジー性奴隷”論の展開だ。慰安婦が当時、戦時売春婦として、日本兵を上回る高給を受け取っていたのは事実である。
そして、趙氏は「慰安婦問題は特定の国家だけの単なる外交的な紛争ではない。人類の歴史に消えることのない傷を残さないよう、国際社会のさらなる関心や支持をお願いしたい」と結んだ。
その通りだ。現在も世界各国に推定10万人超の慰安婦を送り出している《海外進出型売春大国》に、国際社会はさらなる警戒の目を向けなければならない。
趙氏は、朴槿恵(パク・クネ)大統領の、国会議員時代のスポークス「ウーマン」として活躍していた人物だ。前回連載で、尹珍淑(ユン・ジンスク)海洋水産相を「韓国唯一の女性閣僚」としたが、訂正したい。小生は、趙氏を男性だと思い込んでいた。「允」はときどき女性の名前にも使われるが、字で判断するのは難しい。そういえば、全斗煥(チョン・ドファン)時代には、「金玉男」(キム・オンナム)という女性政治家もいた。
さて、委員会に出席していた日本の外交官は「すでに謝罪し、賠償についても解決している」と反論したというが、その声量はどうだったのか。韓国では一切報じられていない。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「日韓がタブーにする半島の歴史」(新潮新書)、「悪韓論」(同)などがある。