【「靖国」後 (中)】激化する中国の世論戦 受けて立った外務省「もう事なかれでは済まない」 (3/3ページ)

2014.01.31

 ただ、中国の学者による国際関係や歴史問題に関する研究は、事実関係より政治目的が優先され、着手する前に結論が出ているのがほとんどだといわれる。

 例えば、中国の指導者が日中戦争中の南京事件の死者が30万人と発言すると、その後、中国の研究者がいくら研究を進めても違う数字は出せなくなる。先行研究をわざと無視し、都合のいい史料だけを引用する中国の学術論文は中国国内だけで通用するといわれる。

 このため、中国の学者が歴史や領土問題でいくら新しい成果を出しても、国際社会ではほとんど影響力がない。「国内向けのパフォーマンスにすぎない」と指摘する声もある。

 首相の靖国参拝はまた、軍事科学院などの軍系シンクタンクに所属する専門家のメディアにおける露出度を急増させもした。

 各テレビ局は連日のように軍事番組を流し、自衛隊が保有する戦闘機、護衛艦の性能分析や中国軍との比較も行われている。軍事専門家らはしばしば「日本との戦争勃発の可能性」などに言及している。

 世界中に駐在する中国の外交官も忙しくなった。中国外務省は昨年末から、各国に駐在する外交官を総動員し、世界規模で安倍首相を批判するキャンペーンを展開中だ。

 韓国やベトナム、マレーシアなどアジア各国をはじめ、米国、英国、ドイツなどの主要国、マダガスカルやコンゴ、エチオピアなど地理的にも歴史的にも日本とほとんど関係のない国々の大使らも、この宣伝活動に参加している。

 もっともこうした大々的な日本批判に対し、戸惑いを見せる欧米の外交官は少なくない。北京駐在のある欧州主要国の大使館員はこういぶかる。

 「中国は、日本とも良い関係を維持したい私たちを無理矢理にトラブルに巻き込もうとしている」

 実際、習政権が国内外で展開する大規模な反日キャンペーンは、実際に日本外交に与えるダメージはほとんどないとの見方もあるぐらいだ。

 共産党筋は「日本の首相の靖国参拝は、日中関係の問題であると同時に、中国の国内問題でもある」と指摘し、その意味を説明する。

 「中国政府が日本に強い姿勢を示さないと、国民による政府批判が高まりかねない。内政で成果を挙げられない習政権は、一連の派手な抗議を通じて、自身の対日強硬姿勢を国内にアピールする目的がある」

 「反日」は中国の構造的な内部矛盾の反映であるならば、日本が靖国で譲歩すれば収まるという性質のものではないことになる。

 

 

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