【断末魔の中韓経済】限界迎える中国の「GDP至上主義」 悪化する環境問題は棚上げ

2014.02.09

★(5)

 GDP(国内総生産)とは面白い指標で、国内の生産の合計であり、支出の合計であり、所得の合計でもある。GDPが拡大しているとは、国民の所得が増えていることを意味し、確かに「豊かになっている」と表現しても構わない。

 とはいえ、当たり前だが「豊かさ」が「所得の金額」のみで測れるはずもない。所得(GDP)のみを追求し、環境保全を無視した経済成長を継続すると、やがて国土は「人間には住めない」環境へと落ちぶれる。まさに、現在の中国だ。

 中国共産党の「GDP至上主義」は、自国を徹底的に破壊しつつある。大気が汚染され、土壌が汚染され、河川が汚染され、ついには地下水にまでも汚染が及んでいる。人間は「食料」「水」そして「空気」が無ければ生きてはいけない。

 ところが、GDPは国内の食料生産、水供給、そして空気の環境を破壊しても増える。現在の北京はPM2・5の濃度が基準値を上回り、マスクをしてすら耐えられないようなありさまだが、別に環境が悪化したからといってGDPが減るわけではない。逆に、現在の中国で環境を改善しようとすると、GDPはむしろ減る。

 北京など華北部の大気汚染の主因は、工業用の石炭だ。共産党政府が北京周辺の工場の石炭の使用を制限すると、当たり前だが各工場の「製品の生産」が減る。つまり、GDPがその分、伸びない。また、そもそも石炭の「消費」自体も、支出面で見たGDPの需要項目の一部だ。政府が環境を改善するため、企業の石炭消費を抑制すると、二重の意味でGDPにマイナスの影響があるわけだ。

 現在の中国の環境汚染を、かつての日本の公害問題と「似ている」と表現する人がいるが、とんでもない話だ。何しろ、わが国は民主主義国家であり、公害問題は地域住民が「政治力」を発揮することで解決に向かった。

 一方、中国人民は選挙権を持たない。結果的に、彼らが公害と戦おうとしても、最終的には暴力に訴えるしか方法がない(現在の中国では年間十数万件の反政府暴動が起きているといわれている)。

 また、中国の企業が環境規制や安全基準(一応、存在する)を無視するのは、環境破壊により地域住民の生命や安全を脅かしたとしても、権力者である共産党官僚との「コネクション」で何とかなってしまうためだ。法治国家ではなく、人治国家である中国の最悪の部分が、環境問題として表面化しているわけだ。

 結局のところ、民主主義という「バランサー」が存在しない中国は、かつてのソ連と同様に国内の環境を破壊し尽くした揚げ句、経済成長が限界を迎えることになるだろう。

 ■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は株式会社「三橋貴明」事務所社長。著書に「日本大復活の真相」(あさ出版)、「いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由」(ワック)、「学校では絶対に教えてくれない 僕たちの国家」(TAC出版)など多数。

 

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