韓国経済で「超ウォン高」が進行中だ。大手輸出企業の採算ラインである1ドル=1050ウォンを大きく割り込み、約5年9カ月ぶりのウォン高ドル安水準となった。折しも米財務省や国際通貨基金(IMF)が韓国のウォン安介入を名指しで批判していることもあってか、1ドル=900ウォン台まで突入すると予測する声も多く、現地メディアは「サムスン電子さえ耐えられない」と悲鳴を上げる。輸出依存の韓国経済にとって深刻な事態だ。
ウォン安を武器に低価格製品の輸出を伸ばすという韓国経済のほぼ唯一ともいえる勝ちパターンは完全に崩れ去った。
ドルとウォンのレートは4月9日、韓国大手製造業の「防衛線」とされる1ドル=1050ウォンを突破。その後もウォン高が止まらず、5月に入ると1ドル=1020ウォンに接近し、リーマン・ショック直前の2008年8月以来のウォン高ドル安水準となった。
日本円に対してもウォン高は進み、13日には1円あたり10ウォンを割り込む場面もあった。
地元ネットメディアのニュースウェイによると、4月以降のウォンの対ドルの上昇率は約3・5%で、主要31カ国で1位だったという。
韓国内外の金融関係者の多くは、今後もウォン高基調が進み、年後半に1ドル=900ウォン台に突入するとみている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が議会証言で、量的金融緩和を終了した後も当面はゼロ金利政策を継続する方針を示したことから、ドル安が進行しているという側面もある。