【湯浅博の世界読解】多くの隣国にケンカ売る中国 稚拙で悪い戦略の追求ばかり (1/2ページ)

2014.05.21

 インド総選挙の行方を息を殺してみていたのは中国であろう。民族色の強い人民党の圧勝で、中国外務省はただちに「中印両国は競争相手ではなく、協力パートナーである」と秋波を送った。穏健な国民会議派のシン首相が強調してきた決めぜりふをなぞったのだ。

 習近平政権はインドの中国離れへの警戒感が強い。自らの高圧的な外交姿勢から、尖閣諸島をめぐる日本との対立のほかに、ベトナム、フィリピンなどの近隣諸国とも反目している。米戦略国際問題研究所の上級研究員、エド・ルトワック氏によれば「多くの隣国にケンカを売る悪い戦略を追求するばかり」である。

 インドで反中気分を代表する人民党のモディ政権ができると、東シナ海や南シナ海での係争がシーレーンに沿ってインド洋にまで広がる可能性が大きい。中国の「悪い戦略」をめぐる周辺諸国との同時多発型対立の表面化である。

 振り返れば、中国は日本の尖閣国有化を奇貨として強硬になり、「侵略国日本が盗んだ」として包囲網の構築をもくろんだ。2012年の国連演説に始まり、ASEAN(東南アジア諸国連合)会議でも欧州歴訪でも、中国要人いくところ「日本の軍国主義復活」の大宣伝である。

 非力な他の周辺国に対しては、力任せに自国のルールを押し付けた。南シナ海のスカボロー礁からフィリピン漁民を追い出し、ベトナム船の探査ケーブルを切断した。南シナ海に「九段線」という領海版図を引いて島嶼(とうしょ)を分捕る手法は、「19世紀の帝国主義と同じ」と批判を浴びた。

 歴史上、オスマン帝国、フランス帝国、ドイツ帝国など大陸国家が海に向かうときは、力を振りかざし、周辺国の反発を招いたものだ。だが、中国はその結末として、あまたの帝国が崩壊していった歴史を鑑(かがみ)とすべきであろう。小国といえども、常に力に屈しているわけではない。

 

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