【風を読む】呆れる米国の「二重基準」 論説委員長・樫山幸夫 

2014.08.19

 大国の身勝手さは今に始まったことではないが、この“二重基準”には呆(あき)れる。

 クリミア併合、マレーシア機撃墜を受けて米国や欧州、日本はロシアに対して、追加も含めた制裁を発動している。対象は個人のほか、軍需、金融、エネルギーなどの基幹産業を含む幅広い分野に及んでいる。

 米国のオバマ政権が、各国に強く働きかけた結果だが、ご本家である当の米国が、制裁の一方で、ロシアから武器を購入していると聞けば驚くだろう。

 「Mi−17」という機種のヘリコプターを、米国はロシア国営の武器輸出企業、ロソボロンエクスポート社から2011年以来、57機購入し、今秋さらに6機が納入される。

 米軍の撤退後、反政府武装勢力、タリバンの掃討戦に手を焼いているアフガニスタン治安部隊に供与するのが目的だ。砂地での操縦によく耐えられるなど同国の地形に適合するMi−17は、作戦遂行のうえで、大きな効果を発揮する。

 米国は対テロ戦を理由に「例外」を主張するだろうが、それなら他の国も、それぞれ事情を抱えている。 日本は北方領土交渉への悪影響を懸念しながら欧米に足並みをそろえているし、フランスは以前からロシアへの強襲揚陸艦供与の契約を結んでいる。キャンセルすれば将来、ロシアとのビジネスが難しくなる。

 米国は自分のことをタナにあげて仏側に、供与を思いとどまるよう説得しているが、だれが耳を貸すか。

 フランスのルドリアン国防相が先月来日した際、小野寺五典防衛相、岸田文雄外相は、先方に供与再考を促した。購入予定の揚陸艦1隻が極東に配備されるといわれるから、日本が懸念するのはもっともだ。

 フランスの揚陸艦売却を支持するつもりは毛頭ないが、友人であり同盟国であるなら、米国に対してもひとことあってしかるべきだろう。

 制裁というのは、足並みの乱れから綻(ほころ)びが広がっていくものである。

 

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