国を背負っている人間も、国を取り巻く状況が日に日に悪化して、個人的にも追いつめられると、突如として(俗な言葉でいうと『切れて』だろうか)思い詰めていた本音を吐く。韓国外交省「高官」の「加害者というものは謝罪を100回しても当たり前ではないか」との発言は、朴槿恵(パク・クネ)大統領の「恨み1000年」発言以来の“ヒット作”だ。日本国は、この本音発言を100年は忘れてはなるまい。
重大人物の重大発言も、記憶そのものの脳内劣化や、自己都合的な短縮化、さらには、ネットメディアの拡大に伴う「情報取り扱い」の粗雑さが重なり、変容していく。
最近、「田中角栄(元首相)が“刎頚(ふんけい)の友”と呼んだ小佐野賢治(=国際興業グループ創業者)は…」との文章を読んで、そう思った。田中が“刎頚の友”と呼んだのは入内島金一(=角栄が上京し勤め始めたときの会社の先輩)であり、小佐野ではなかった。
ある新聞には「朴大統領は『歴史を忘れた民族に未来はない』と言い…」との記述があった。「歴史を忘れた民族に…」は、そもそも独立運動家、申采浩(シン・チェホ)の言葉とされ、サッカー場の横断幕に登場して有名になった。朴大統領がそれを述べたとしても、引用発言だ。いや、引用して述べたこともないのではないか。
外国の重要人物の重要発言は、丁寧に取り扱われるべきだ。それを伝える1次マスコミは、特派員のコメントなどどうでもいいから、カギ括弧の中を丁寧に伝えるべきだと思う。
さて、問題の韓国外交省「高官」の発言だ。日本では共同、時事両通信社が、韓国の通信社である聯合ニュースの報道を引用して伝えたが、唯一のソースである聯合の原文を私が直訳すると、こうなる。