北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は、叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏に続き、国防相も処刑したとされる。こんな粛清の嵐が吹きすさぶ北朝鮮内部から情報を伝え続ける“ジャーナリスト集団”がいる。主体は「情報発信で国をよくしたい」と願う北朝鮮出身者たちだ。取材成果をまとめた雑誌「リムジンガン」最新号は、「ガキ」呼ばわりしてきた金第1書記の恐怖政治に怨嗟(えんさ)の声を漏らす住民らの本音を余さず描き出している。(桜井紀雄)
■「国を開放しようとして殺された」
「張ですら、あのようになるなら、(問題起こしたら)私たちは、皆殺しにされる」
このほど発行された「リムジンガン 第7号」に紹介された北朝鮮の北西部、平安北道(ピョンアンブクド)の都市に暮らす住民の声だ。自分の叔父まで手にかけた粛清を批判的にとらえ、張氏に同情する声が少なくないという。
この住民はこうも言う。「(粛清を)間違いだと考える人は多い。国を開いて暮らしがよくなれば、資本主義をやったっていい」
金第1書記「唯一」独裁の特異な社会主義体制にあって、資本主義を肯定する言葉を平気で漏らす住民に驚かされる。
2013年末の張氏処刑以来、各地の講習で「張が失政や横領で国家に莫大(ばくだい)な損失を与えたため、人民生活が悪化した」と住民らにすり込まれてきた。それでも、張派を改革開放の旗手ととらえ、経済をよくしてくれると淡い期待を抱いた人たちもいた。
「張は国を開放しようとしたから殺されたんだと考える人が少なくない」と、北部、両江(リャンガン)道の主婦は吐露した。




