中国当局が、スパイ行為に関与した疑いで少なくとも2人の日本人男性を拘束していることが30日、分かった。日本政府高官や日中関係筋が明らかにした。神奈川県と愛知県在住の民間人で50代とみられる。女性を含め3人が拘束されたとの情報もある。拘束は数カ月にわたるとみられ、外務省などが情報収集を進めている。
菅義偉官房長官は記者会見で「個別の事案について答えることは控えたい」と事実確認を避けつつ「邦人の海外での安否について政府は全力で取り組んでいる」と述べた。スパイを中国に送り込んだかとの質問に「わが国はそうしたことは絶対にしていない」と強調した。
日中関係筋によると、当局は浙江省内の軍事施設周辺で5月、男性1人を拘束。どのような行為が問題となったのかは不明。男性は日本から渡航して拘束されたという。
同時期に遼寧省の中朝国境付近で中国の「機密情報」を不法に手に入れようとした疑いがかけられている日本人は男性1人または男女2人など情報が錯綜している。
習近平指導部が施行した反スパイ法は「(領土問題で対立する)日本や東南アジア諸国を念頭に置いている」(共産党関係者)ともされる。
日本人が拘束された事件では、2010年9月、準大手ゼネコンのフジタの社員4人が河北省内の軍事管理区域でビデオ撮影したなどとして当局に拘束されたが、翌10月に全員が解放された。
中国でスパイと認定された場合、軽微であれば5年以下の懲役、国家利益に重大な影響があると認定されれば、無期懲役や死刑の可能性がある。
拓殖大学教授の富坂聰氏は、「北朝鮮との関係が悪化している中で、遼寧省の中朝国境地帯を中国当局が警戒しているのは確かだ。遼寧省が属する東北部は中国で最も経済が悪い地域で、今年に入って李克強首相と習近平国家主席が相次いで視察しているが、情勢が不安定な土地柄だ。そうした点も今回の件に関係している可能性はある」と話した。





