【歴史戦】米国の教科書に書き込まれる「史実」が危ない… ロサンゼルス支局長・中村将 (1/2ページ)

2015.11.01

 それは、西暦1500年から1800年にかけての奴隷貿易を説明する高校世界地理の教科書に書かれていた。米南部のプランテーションにアフリカから強制的に連れてこられた奴隷が、「労働者」と記述されていることを、テキサス州の高校に通う15歳の黒人男子生徒が母親に告げた。母親は驚き、その話をソーシャルメディアに書き込んだところ、騒動に火がついた。

 「労働者」だと、給料や報酬を得ていたことになる。忌まわしき奴隷制度への誤解につながる表記に、黒人団体などが猛反発し、教科書の出版社は謝罪した。誤りを訂正した記述が書かれたシールを配布し、教科書に貼ってもらうという。AP通信が今月初旬、こんな内容の記事を配信した。米マグロウヒル社の教科書だった。

 迅速な対応の背景には、いまだに米社会に残る人種差別に直結する騒動との認識があったのだろう。生徒が学ぶ教科書なのだから、当然の対応といえる。

 だが、同社の対応は必ずしもそうではない。高校世界史の教科書「伝統と交流」は慰安婦について、「日本軍は慰安婦として働かせるために、最大で20万人にもおよぶ14歳から20歳までの女性を強制的に募集、徴用した」「日本軍は部隊に対し、天皇からの贈り物として、これら女性を提供した」などと記述していることで知られる。

 安倍晋三首相が国会答弁で、教科書の記述について「本当に愕然(がくぜん)とした」と述べたのが今年1月。外務省は数回にわたり、是正を要請したが、同社は「学者たちは慰安婦の歴史的事実をめぐって立場がぶれることはないし、私たちも執筆者の著述や研究、発表を明確に支持する側に立つ」との姿勢を鮮明にした。日本の歴史学者らも、誤りや不適切な表現の訂正を求めているが、だんまりを決め込んでいる。「強制徴用」や「天皇からの贈り物」が“歴史的事実”となって教えられている。教科書の記述を疑う生徒はどれだけいるだろうか。

 

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