【石平のChina Watch】米イージス艦派遣で習主席の「虚像」は崩壊した (2/2ページ)

2015.11.09

 まずは9月26日、人民日報が1面から3面までの紙面を費やして首脳会談を大きく取り上げ、49項目の「習主席訪米成果」を羅列して、筆頭に「新型大国関係構築の米中合意」を挙げた。同27日、中央テレビ局は名物番組の「焦点訪談」で「習主席の知恵が米国側の反響を起こし、米中が新型大国関係の継続に合意した」と自賛した。同29日、今度は王毅外相がメディアに登場し「習主席のリーダーシップにより、米中新型大国関係が強化された」と語った。

 この異様な光景は世界外交史上前代未聞の茶番だった。米中首脳が「新型大国関係構築」に合意した事実はまったくなかったにもかかわらず、中国政府は公然と捏造(ねつぞう)を行い「訪米大成功」と吹聴していたのである。それはもちろん、ひたすら国内向けのプロパガンダである。習主席訪米失敗の事実を国民の目から覆い隠すためにはそうするしかなかった。「新型大国関係構築」がご破算となったことが国民に知られていれば、習氏のメンツは丸つぶれとなって「大国指導者」としての威信が地に落ちるからだ。

 まさに習氏の権威失墜を防ぐために、政権下の宣伝機関は「訪米大成功」の嘘を貫いたが、問題は、米海軍の南シナ海派遣の一件によってこの嘘が一気にばれてしまったことである。オバマ政権が中国に対して「深刻な政治的挑発」を行ったことで、習主席訪米失敗の事実は明々白々なものとなり、米中両国が「新型大国関係構築に合意した」という嘘はつじつまが合わなくなった。しかも、米海軍の「領海侵犯」に対して有効な対抗措置が取れなかった習政権への「弱腰批判」が広がることも予想できよう。

 今まで、習主席はいわば「大国の強い指導者」を演じてみせることで国民の一部の支持を勝ち取り、党内の権力基盤を固めてきたが、その虚像が一気に崩れてしまった結果、彼はただの「裸の王様」となった。

 いったん崩れた習主席の威信回復は難しく、今後は政権基盤が弱まっていくだろう。反腐敗運動で追い詰められている党内派閥が習主席の外交上の大失敗に乗じて「倒習運動」を展開してくる可能性も十分にあろう。

 1962年のキューバ危機の時、敗退を喫した旧ソ連のフルシチョフ書記長はわずか2年後に失脚した。今、米軍の果敢な行動によって窮地に立たされた習政権の余命はいかほどだろうか。

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【プロフィル】石平 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

 

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