【湯浅博の世界読解】中国の世論戦に世界はしらけムード 「レッテル貼るな」は焦燥感の表れか (1/2ページ)

2016.03.14

 中国の傅瑩報道官(共同)
 中国の傅瑩報道官(共同)【拡大】

 やはり、全国人民代表大会(全人代)外事委員会主任委員の傅瑩(ふえい)氏の弁舌は滑らかであった。ベテラン広報官として、外国人記者が2の矢、3の矢を繰り出しても巧みにさばいていく。

 傅瑩氏はいまや、「ミズ・プロパガンダ」として英語でも発信して中国“世論戦”の先頭を走る。全人代の記者会見では、南シナ海の人工島の軍事拠点化を指摘されると、「軍事化という言葉はごまかし」と答え、「航行の自由を脅かすという多くの報道が、中国人にレッテルを貼るものだ」と反発をみせた。

 もっとも、全人代や外務省報道官らの答えは、飽き飽きするほどパターン化しており、記者たちは同じ話を別の言葉で聞かされることになる。いくら国防費の伸びが6年ぶりに1桁増に抑えられたとはいえ、他国より桁違いに多い7%を超えれば、当然、質問は南シナ海情勢に集中することになる。

 傅瑩氏は欧米紙への寄稿も多く、先月の英紙フィナンシャル・タイムズでも、米国が「南シナ海の領土紛争に関与し、かえって戦略的な対立をエスカレートさせている」と繰り返した。中国自身が近隣諸国に脅威を振りまいていることは棚に上げ、米国が嫌う「巻き込まれ症候群」に火をつける手法である。

 1月にスイスで開催の世界経済フォーラム「ダボス会議」では、東シナ海の尖閣諸島の領有権を取り上げた。傅瑩氏は「無人島の争いに巻き込まれるのは、米国の国益にならない」との常套(じょうとう)句で、日米分断を狙っていた。

 さすがに同じ話を聞かされると、中国による「言葉の戦争」も鼻についてくる。国家基本問題研究所の太田文雄企画委員は、2月末に参加した「将来の国境線」がテーマの英国ロンドン・セミナーで、主要国の中国に対する見方が厳しくなる潮目の変化を感じたという。

 

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