伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の首脳宣言で、経済面でも安全保障面でも矢面に立たされた中国。味方と思っていた英国やドイツにも裏切られ、G7(先進7カ国)からの「最後通告」を突き付けられた習近平政権は、焦りの色を隠せない。
安倍晋三首相がサミットの経済討議で「リーマン・ショック級の危機」と強調したのは、中国の経済失速を念頭に置いたものだった。
英国から「悲観的すぎる」と異論が出たこともあり、首脳宣言では「下方リスクが高まってきている」とやや弱まった一方、「工業部門、特に鉄鋼における世界的な過剰生産能力は、世界的な影響を伴う差し迫った構造的課題」と中国に対する強い表現でまとまった。
サミットと歩調を合わせて、米国際貿易委員会(ITC)は、中国の鉄鋼大手40社を対象に輸入と米国内の販売差し止めを求めた米企業の訴えを受け、関税法337条に基づく調査開始を決めたと発表した。
首脳宣言ではまた、中国の一方的な海洋進出を念頭に「東シナ海・南シナ海の状況を懸念」と明記した。