朴氏の足をさらに引っ張っているのが、議会の野党勢力である。韓国では12年に「国会先進化法」が制定され、在籍議員の5分の3の賛成がなければ法案を本会議に上程できなくなった。政府が経済活性化のために提出した法案も、野党の反対で本会議上程を阻止されている。
党利党略に走って何も決められない韓国の政治は、まさに機能不全に陥っていると言わざるを得ない。
人々は国民を救えない保守系の朴政権を見放しつつあり、16年4月に実施された総選挙では、親北朝鮮議員の多い野党勢力が300議席中161議席を獲得して過半数を制した。
さらに、公務員や大学教授、小・中・高校の教員、マスコミ業界など、70万人が加盟する全国民主労働組合総連盟は、朴政権打倒を目指して15年よりゼネスト戦術を拡大している。
社会格差に反発する多くの一般市民や失業者の群れがそこに加われば、国中が「反政府」の大きな渦にのみこまれていくだろう。レームダック化した朴政権のもとで、韓国全体が今大きく左傾化しつつあるのだ。
■松木國俊(まつき・くにとし) 朝鮮問題研究家。1950年、熊本県生まれ。73年、慶応大学を卒業し、豊田通商に入社。直後から韓国担当を務め、80〜84年、ソウル事務所に駐在する。秘書室次長、機械部次長を経て、2000年に退社。松木商事を設立する。韓国問題を長く研究しており、「慰安婦の真実国民運動」前幹事長。著書に『こうして捏造された韓国「千年の恨み」』『韓国よ、「敵」を誤るな!』(ワック)など。