【桜井紀雄が見る劇場型半島】韓国のTHAAD配備に中国の報復が始まった 朴大統領は夜も眠れぬ日々 (1/4ページ)

2016.08.15

 米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備が決まって以降、中韓関係がこじれにこじれている。習近平政権の思惑を代弁する中国メディアは連日非難キャンペーンを展開。韓流スターの中国でのイベント中止やビザ発給への影響も伝えられ、韓国メディアは中国による「報復だ」と戦々恐々としている。朴槿恵(パク・クネ)政権は“中韓蜜月”といううたかたの夢から覚め、中国の本性を思い知らされたようだが、一部野党議員らが北京もうでを強行するなど、THAADをめぐる国内での政争が収まる気配はない。

■韓流より愛国…右にならえ見せつけ

 「韓国に対する制裁は事実上、既に始まっている。これはシグナルにすぎない」

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は9日、論評でこう警告した。「THAADが配備されれば、両国関係が冷え切り、貿易も大きな損失を受けるだろう」

 シグナルとは、韓流ビジネスをめぐる中国での最近の動きを指しているとみられる。

 「不可抗力の理由で、6日に予定されていたファン・ミーティングを延期します」。北京で行われるはずだった韓流ドラマ出演者とファンの交流イベントについて、中国の主催者側のサイトに唐突にこう告知されたのは今月3日のことだ。

 韓流女性グループの中国公演なども突然キャンセルされ、中韓合作ドラマで韓国人女優の出演部分をカットするとの噂も持ち上がった。

 このほか、中国が、韓国人の商用ビザ取得を代行してきた中国業者の資格を停止し、事実上、発給を厳格化したとも伝えられる。

 インターネット上には、韓流スターやドラマ名を挙げた「禁韓令」と称する「報復対象リスト」も出回っている。

 その後、単なるデマだと確認されたものもあるが、中国の制作会社幹部は、韓国紙に「THAAD配備の発表後、当局幹部から『韓国との文化コンテンツ協力事業は自制した方がよい』との電話を受けた」と証言したという。直接的な指示がなくとも、中国企業側が当局の意向を忖度(そんたく)し、自主規制に走っている可能性は高い。

 環球時報は「中国は韓国の芸能コンテンツの最大の海外市場だ」とした上で、「もし韓国がTHAAD配備に固執するなら中韓関係は緊張し、韓流が打撃を受けるのは必然だ」と主張。「韓流スターが犠牲になるのは中国のせいではない」と伝えていた。

 現に、一連の報道を受けて韓国の大手芸能事務所やドラマ制作会社といった韓流ビジネスに関連した株価が下落するといった実害が生じている。

 中国版ツイッター「新浪微博(ウェイボ)」の世論調査では、86%が、中国政府が韓国人芸能人の出演を禁じる場合「支持する」と回答した。「娯楽より愛国心だ」との書き込みも目立った。

 韓流ブームにどっぷり漬かっているようでも、「愛国」を持ち出されると、即座に“右にならえ”となる中国ネット世論の怖さを見せつけた。

 

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