南シナ海問題「敵の敵は味方」の単純な考え方は通用しない (2/2ページ)

2016.08.24

 日本では、東シナ海で敵対する中国が南シナ海で窮地に陥ると喜ぶ向きもあるが、海の問題はそう単純ではない。

 例えば、西沙諸島(同・パラセル諸島)をめぐる中越の対立でベトナムが領有の根拠としているのは、「大陸棚延伸論」である。

 この論争で、ベトナムに理があるなら、東シナ海で中国が主張する「(大陸棚の続く)沖縄トラフまでが中国のもの」が通ってしまうことにもなりかねない。

 また、「中国VSASEAN(東南アジア諸国連合)」の戦いでは、どうしてもASEAN側の主張が遅れたという背景がある。これも、日中の対立に当てはめれば、中国側の立場を後押しすることになる。

 現状を見る限り、日本は南シナ海の問題で明確にASEAN側に立っている。一方で、彼らが主張する「大陸棚延伸論」や「後出しジャンケン」については牽制する気配がない。東シナ海をめぐる日中間の衝突で、中国が同じ主張や手法を採用した場合、日本が不利にもなりかねないにもかかわらず、だ。

 これでは何のために南シナ海で苦労しているのかわからなくなる。

 東シナ海で不穏な情勢が続き、同海域でのさらなる中国側の攻勢も懸念される。今後は単純な「善悪二元論」に終始しない情勢の冷静な見極めが必要になってくるだろう。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

 

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