ただ、トランプ氏の政権移行チームの安全保障担当上級顧問であるピーター・フークストラ元下院議員は昨年10月、ワシントンで開かれた「東アジアと韓半島」という討論会に参加し、以下のように語ったという。
「トランプ氏は、米国の安全保障に脅威になることに対しては、その脅威が中東であれ韓半島であれロシアであれどこで発生しようとも、いかなるオプションも排除しないという点を大変明確にしてきた」
韓国・東亜日報が同月13日の日本語版で報じたもので、同紙は記事に「北朝鮮先制攻撃、オプションから排除しない」とのタイトルを付けた。
トランプ氏は、次期国防長官に「狂犬」と恐れられるジェームズ・マティス元中央軍司令官(退役海兵隊大将)の指名を決め、「強い米軍」の復活を目指している。北朝鮮にこれ以上、好き勝手させないはずだ。
軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「トランプ氏は経済は専門家だが、外交・安全保障はプロとは言い難い。基本的に共和党の『対北強硬路線』を踏襲するはずだ」といい、続けた。
「先制攻撃を行った場合、韓国への反撃が予想され、甚大な被害が出る可能性がある。韓国は朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人による国政介入事件で、統治機能の危機にある。現時点で、この選択肢は取りにくいだろう。特殊部隊による正恩氏の排除は考えられるが、北朝鮮の崩壊につながり、韓国にやはり厳しい。正恩氏の『新年の辞』には異例の反省を口にする場面があった。トランプ氏に『こっちを見てくれ』とメッセージを送ったようにも見えた。トランプ政権は軍事的に強い圧力をかけながら、正恩氏を取り込んで、キバ(核・ミサイルの脅威)を抜き取るような、強引な外交政策に打って出るかもしれない」