米国による日本叩きが再燃するのか−。米国際貿易委員会(ITC)が、トヨタ自動車やホンダなどの自動車部品として使われている電動モーターが米企業の特許を侵害している恐れがあるとして、関税法に基づき調査を始めると発表した。トランプ米大統領がトヨタを標的にした発言をするなか、特許侵害が認定されれば、この部品を使った車は米国で販売できなくなる可能性がある。
部品はパワーステアリングなどに使われており、調査対象はトヨタ自動車やホンダ、トヨタ自動車グループの部品大手デンソーやアイシン精機のほか、ドイツのBMWなど計25社。特許関連の取引を手がける米企業が特許侵害を訴えていた。
ITCは調査開始から45日以内に調査完了の時期を定める。ITCが特許侵害を認定し、是正策を命じた場合、60日以内に米通商代表部(USTR)が反対しなければ、命令が確定するという。
米国内の雇用増を掲げるトランプ氏は今年1月、トヨタのメキシコ新工場計画についてツイッターで「あり得ない! 米国に工場を造れ。さもなくば高い関税を払え」と批判。トヨタが1兆円超の投資計画を公表すると、「われわれが選挙に勝たなかったら(トヨタは)投資しなかっただろう」と勝ち誇った。
ただ、特許侵害が認定され、トヨタの米国での自動車販売が減少すれば、米国内の雇用に悪影響を及ぼす恐れもある。
ITCは、日本などの鉄鋼メーカーのダンピングを認定したほか、東芝の半導体についても特許侵害の疑いで調査するなど、「アメリカ・ファースト」の嵐が吹き荒れている。