参院選、菅“オウンゴール”で情勢激変 民57・自40

2010.07.02


消費税発言で迷走する菅首相。追い風は止まった?!【拡大】

 菅直人首相(63)が「消費税10%」を示唆したことで、7・11参院選情勢が急激に変化している。民主党への追い風がピタリと止み、無党派層が投票先を決めかねているようなのだ。政治評論家の小林吉弥氏による政党別の獲得議席予測では、「民主党57議席」「自民党40議席」に。ただ、最悪の場合は首相が掲げた責任議席(54議席)を下回り、与党過半数割れの可能性も指摘。投開票まであと1週間、この流れは止まらないのか。

 「菅首相と枝野幸男幹事長(46)が『選挙の素人』ということがハッキリした。慎重にも慎重を期すべき消費税増税について、公示日直前に安易に語るなど考えられない。前代未聞のオウンゴールというしかない。加えて、選挙戦の最中に、与党の過半数割れを想定して、連立組み替えに触れるなど論外。これでは、死に物狂いで戦っている候補者らの士気は下がる。そんなことさえ分かっていない」

 小林氏はこう語る。

 今回の獲得議席予測は、最新の世論調査に国政選挙での各党得票率、個別の選挙区事情などをもとに、選挙分析で定評がある小林氏が弾き出した。

 まず、与党陣営。菅首相(代表)率いる民主党は「単独過半数(122議席)獲得」のためには60議席の確保が必要。小林氏は「選挙区36、比例区21の計57議席」と予測するが、最低値だと「選挙区32、比例区20」で、現状維持(54議席)に満たない52議席まで落ちる。

 「鳩山由紀夫前首相(63)と小沢一郎前幹事長(68)の引責辞任で、民主党は単独過半数もあり得る展開だったが、『消費税10%』発言で無党派層が離れ、公明党支持層もソッポを向いた。昨年のマニフェストの大規模修正も評判が悪い。発足から1カ月足らずで内閣支持率が10%も減るなど尋常ではない」

 「2人区以上の18選挙区では大きな影響は出ていないが、29ある1人区で、民主党は自民党にほぼ並ばれた。昨年末の時点では25議席以上狙えたが、10議席ほど減らしたことになる。まだ、民主党への期待感はあるが、今後、菅氏が消費税でブレると、国民の信頼を失い、与党過半数割れもあり得る」

 今回、民主党は女子柔道金メダリストの谷亮子氏(34)や、関西の超人気番組「探偵!ナイトスクープ」の秘書役を務めた岡部まり氏(50)など、タレント候補を多数擁立しているが、その情勢も想定外といっていいようなのだ。

 「サッカーW杯でマスコミへの露出が減ったうえ、有権者のタレント候補に対する視線も厳しくなっている。知名度だけで大量得票はとても無理。大阪選挙区で岡部氏が苦戦を強いられているのは、有権者が自分たちの生活を真剣に考えているからだろう」

 金融・郵政担当相を辞任した亀井静香代表(73)率いる国民新党は「選挙区0、比例区1の計1議席」。風は吹いていない。

 一方、野党陣営はどうか。

 自民党の谷垣禎一総裁(65)は「(与党を過半数割れに追い込めなければ)総裁として資格がなくなる」と退路を断っているが、小林氏の予測では「選挙区29、比例区11の計40議席」と、改選前から2議席上回った。

 「目玉政策がなく、酸欠状態にあった自民党だが、菅首相の消費税発言で息を吹き返した。ただ、爆発的な勢いはない。谷垣氏が『いちばん』と叫ぶテレビCMも具体性がない。一体何をする気なのか。政策のインパクトがなく、民主党政権への対抗軸を示し得ていない」

 「1人区でほぼ互角なのに、他の選挙区で差が出るのは『複数区は複数候補』という小沢戦略が功を奏している。比例区11議席は同党としては過去最低。旧閣僚が応援遊説しているが、昔の名前で出ているイメージがあり、逆に足を引っ張っている感がある」

 公明党は山口那津男代表(57)になって初の国政選挙。小林氏は「選挙区3、比例区6の計9議席」と予測。共産党は「選挙区0、比例区4の4議席」。普天間問題をめぐって連立離脱した福島瑞穂党首(54)率いる社民党は「選挙区0、比例区1の計1議席」だ。

 新党各党はどうか。

 渡辺喜美代表(58)率いる「みんなの党」は、与党過半数割れを懸念する民主党の枝野氏から連携を期待するラブコールを受け、「みんなの党の支持層の引っぺがし工作であり、悪質な選挙妨害だ」(渡辺氏)と批判。予測では「選挙区4、比例区4の計8議席」だ。

 「民主党の姿勢に疑問を持ちながら、『自民党政権には戻したくない』という有権者の受け皿となっている。また、他の新党票を吸収している感がある。ただ、小鳩時代のような追い風はない。枝野氏の抱き付き作戦も影響はないだろう」

 他の新党はインパクト不足が目立つ。

 舛添要一前厚労相(61)率いる新党改革と、平沼赳夫元経産相(70)と与謝野馨元財務相(71)の「たちあがれ日本」はともに「選挙区0、比例区0の計0議席」だ。

 小林氏の予測では、民主党中心の与党陣営は59議席、自民党中心の野党陣営は62議席となる。与党敗北だが、非改選議席を加えると、与党陣営は126議席となり、過半数(122議席)を上回ることになる。

 「ただ、選挙戦後半でも菅首相と枝野氏が失策を続けると、『与党過半数割れもあり得る』という情勢だ。混乱の余地は十分にある。与党過半数割れとなった場合、連立の組み替えが不可避となるが、ここで注目されるのが小沢氏の動きだ」

 最近、小沢氏は、消費税増税を示唆した菅首相に対して、「そんなバカなことあるか」「結果としてウソをついた」などと公然と批判を展開している。これはただ事ではない。

 小林氏は「検察審査会の判断次第だ。『起訴相当』と判断されて強制起訴となれば政治生命は終わるが、強制起訴を免れれば、間違いなく菅執行部へのリベンジに乗り出してくる。9月の代表選に対立候補を立てるだけでなく、没落自民党に代わる『政権交代可能な新しい保守政党をつくる』といった大義名分を振りかざし、政界再編を仕掛けてくる可能性が高い」と語る。

 永田町大激変は避けられないようだ。

 

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