菅首相には国益という観点がまったく感じられない

2011.07.27

 現在、永田町や霞が関の関係者が首をかしげているのは、前回のコラムでも取り上げた、菅直人首相や民主党の北朝鮮絡みのスキャンダルを、産経新聞や夕刊フジなどを除く、大半のマスコミがほとんど取り上げないことだ。この現象は異常ではないのか。

 このスキャンダルは、菅首相をはじめとする民主党の国会議員や地方議員の資金管理団体などから、拉致事件で国際手配されている森順子容疑者と、よど号ハイジャック犯の故田宮高麿元リーダーを両親に持つ長男が所属する政治団体など3団体に、2億円以上が政治献金されていたもの。

 団体の機関紙には、田宮元リーダーや、よど号ハイジャック犯で拉致事件でも国際手配されている魚本(旧姓・安部)公博容疑者も寄稿しており、北朝鮮や旧赤軍派の広報紙的役割を担っていた。そして、政府の拉致問題対策本部長である菅首相もかつて寄稿していた。

 法律以前の問題であり、拉致被害者、横田めぐみさんの母、早紀江さんは「何を信じていいのか分からない。政府を信じていいのか…。吐き気がする」と話していたという。小泉純一郎元首相も「同じことが自民党の首相で起こったら、直ちに総辞職ものだ」と語っていたが、私も同感だ。

 現在のマスコミの姿勢は、拉致事件を黙殺した約40年前と同じではないのか。1977年9月、久米裕さんの拉致事件について正しい報道がなされていたら、4カ月後のめぐみさんの事件は防ぐことができたのではないか。報道機関の使命とは何か。よくよく考えていただきたい。

 さて、こうしたなか、菅首相が北朝鮮への電撃訪朝を模索し、極秘交渉を指示していたことが報じられた。

 政治家にとって、未解決の外交問題に挑戦することは、冒険家が未踏の地に足を踏み入れるのに似て、魅力的だ。「外交問題を解決したい」という政治的野心は、時に難題を突破する原動力となるが、常に「国益にかなっているのか」と自らへの問いかけがなければならない。

 残念ながら、菅首相には国益という観点が欠片も感じられない。「1日でも長く、首相の座に留まりたい」という思惑ばかりが目立つ。政権延命のためなら何でもしたいと口をパクパクさせている菅首相は、北朝鮮にとってエサなしでも釣れる鯉のようなもの。

 菅首相の私利私欲のために、拉致被害者を、日本を、国益を犠牲にすることのないよう、何としても阻止しなければならない。(自民党衆院議員)

 

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