新政権は“適材不適所”内閣

2011.09.07

 野田佳彦内閣が発足した。世論調査の支持率も高いようだ。まずは、野田首相にお祝いを申し上げたい。東日本大震災の復興や日本経済の再生、山積する外交課題など、日本政治は待ったなしだ。迅速果敢な対応を期待したい。

 初当選同期でもある野田氏で印象深いのは、私が官房副長官時代、彼が「4度の国会決議などですべての戦犯の名誉は回復されている」として、A級戦犯が合祀されていても首相の靖国参拝に問題はない−という質問主意書を提出したことだ。

 私も元来、国際法の法理として、講和条約(サンフランシスコ平和条約)が結ばれた時点で、戦争裁判は効力を失うと認識しており、いわゆるA級戦犯とされる方々は、国内法はもとより国際的にも犯罪人ではないと考えている。

 そもそも、罪刑法定主義上、事後法で裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)には、大きな問題がある。だからこそ、A級戦犯として有罪判決を受けた重光葵氏や賀屋興宣氏は釈放後、法相に就任し、重光氏は勲一等を授けられているのだ。

 野田氏の質問主意書に対し、私は事務方に「分かりやすく、明確に答弁するように」と指示した。そのうえで、野田氏に電話をかけて、「あなたの質問主意書は大変立派だ」と伝えた。最近、野田氏と話す機会があったが、「よく覚えています」と話していた。

 私は、野田氏が正しい認識を持った保守政治家だと理解している。理念を貫き、すべきことをしてほしい。ただ、期待するからこそ、注文もつけたい。

 民主党幹事長に「日教組のドン」輿石東氏を起用したことは問題だ。小沢・鳩山グループを掌握するための政治的技術だろうが、日本の教育をゆがめてきた日教組のドンが、絶大な権力を握る与党幹事長に就くことによる、教育現場への悪影響を非常に懸念する。

 厚労相に小宮山洋子氏をあてたことも理解できない。彼女は、家族の価値を認めないジェンダーフリー論者であり、夫婦別姓推進論者である。そんな人物が、子育て政策の責任者になるなど、おかしい。

 平岡秀夫氏の法相起用は異常だ。彼は民主党左派を自任し、光市母子殺人事件の加害者弁護団の奇妙な主張を支持しただけでなく、息子を少年に暴行死させられた母親に対して、「彼らにも罪を犯す事情があったんですよ」と言い放った人物である。

 就任会見で、平岡氏は死刑執行について当面は執行しない考えを示した。江田五月前法相を含め、ここ3代の法相は死刑を執行していない。このままでは、なし崩し的な死刑停止につながりかねない。

 野田氏は組閣について「適材適所」と語ったが、これで彼の政治理念が実行できるのか。正直、「適材不適所」内閣と言わざるを得ないのではないか。政治家はどういう意見を持っているかでは評価されない。何をしたかで評価される。(自民党衆院議員)

 

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