“ド素人”田中防衛相、党内ではなぜか高評価…そのワケは?

2012.02.09


国会でボロボロの直紀氏だが、民主党内では弾避けとして重宝されている【拡大】

 田中直紀防衛相(71)の評価が、意外なことに民主党内で高まっている。世論的には「ド素人」「大臣不適格」とみられているが、野党陣営の攻撃をほぼ1人で受け止めたため、他の問題閣僚への追及が激減。2011年度第4次補正予算案は8日、予定通りに成立したのだ。一部では「更迭近し」との見方もあるが、“内閣の弾避け”として、しばらく寿命が延びるのか。

 「これまでは、安住淳財務相や小宮山洋子厚労相などにも激しい攻撃があったが、いまは直紀大臣が引き受けてくれている。この効果は絶大だ」

 民主党中堅議員はこう語る。トンデモ答弁や失踪事件、断コーヒー宣言などで世間を騒がせ、精神的にも追い込まれた印象のある「パパ」こと直紀氏だが、実態はやや違うという。

 「聞いた話だが、最近、直紀大臣の口癖は『大丈夫だ』『あれに比べれば…』というもの。大臣は、田中角栄元首相の娘婿、田中真紀子元外相の夫として堅実にやってきた。あの強烈な個性の2人を相手にしてきたのだから、野党やマスコミの攻撃などは、痛くもかゆくもないのだろう」

 そもそも、永田町では「予算委員会さえ終われば閣僚は一安心」といわれる。NHKの生中継さえなければ、多少答弁が遅れても、秘書官のメモを棒読みしても目立たない。大臣室に秘書官、SP、大臣車まで付き、行く先々で「大臣」「大臣」と持ち上げられる厚遇ポストを、政治家が簡単に手放すわけがない。

 直紀氏を国会で攻撃した野党議員にも逆風が吹き始めた。

 自民党ベテラン秘書は「クイズ形式の質問をした議員の事務所に、『直紀大臣をイジメるな!』『あなたは全部答えられるのか』といった抗議電話が殺到している。真紀子氏が外相時代に集中砲火を浴びたときも、似たような抗議電話が集中したらしい」という。

 今後、国会は2012年度予算案や、野田佳彦政権の最重要課題である「社会保障と税の一体改革」が焦点となる。民主党中堅議員はいう。

 「ここまでバッシングを受けて平気な人は少ない。弾避けとして貴重な存在だ。野党は問責可決を視野に直紀大臣への攻撃を強めるだろうが、それと引き換えに法案が通るのなら安いもの」

 それでいいのか。(政治ジャーナリスト・宇田川敬介)

 

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