尖閣2月危機! 背景に人民解放軍の権力闘争「偵察用無人機を不時着させ…」

2013.01.09


尖閣諸島久場島沖で海上保安庁の巡視船に挟まれて航行する中国の海洋監視船(昨年10月2日)。海に空に挑発行為が続いている【拡大】

 沖縄県・尖閣諸島を狙う中国が、安倍晋三新政権への圧力を強めている。7日には海洋監視船4隻が昨年12月31日以来となる領海侵犯を強行した。2013年も尖閣をめぐる攻防が続きそうな気配だが、専門家は「尖閣は2月に危機的状況を迎える可能性がある」と警告する。背景には、習近平総書記体制下で起きている人民解放軍内部の権力闘争が関係しているという。国境の島が直面する「2月危機」とは−。

 正月休暇が終わり、安倍官邸が本格始動した7日午前、タイミングを見計らったかのように中国の挑発が再開された。

 海洋監視船4隻が次々と尖閣諸島周辺の領海内に侵入。海上保安庁の巡視船の警告を無視し、8日未明まで領海内に居座った。

 「昨年から領海侵犯を繰り返している監視船『海監』は国家海洋局の所属。海洋局は日本の資源エネルギー庁にあたる国土資源部管轄の部局で、事実上、海軍の支配下にある。繰り返される侵犯行為は、海軍の意を受けているとみて間違いない」(防衛省関係者)

 中国は、海ばかりでなく空からの攻勢も強めている。昨年12月13日、尖閣周辺でプロペラ機「Y12」が初めて日本領空を侵犯し、今年に入っても5日にプロペラ機が尖閣付近の空域に接近した。

 防衛省は発表していないが、昨年9月の尖閣国有化以降、中国軍機も日本領空への接近飛行を繰り返している。

 「尖閣の領空侵犯があった12月13日以降、領空接近は6回にのぼり、航空自衛隊のスクランブル発進が急増している。プロペラ機はいずれも国家海洋局所属で、領海侵犯同様に主導しているのは中国海軍と思われる」(同)

 挑発行為で緊張感が高まるなか、不気味なシナリオを指摘するのは『国防の常識』(角川学芸出版)などの著書がある元航空自衛隊員の軍事ジャーナリスト、鍛冶俊樹氏。「2月に尖閣をめぐる情勢が激しく動く可能性がある」というのだ。

 どういうことか。

 「人民解放軍内で繰り広げられる権力闘争が密接に絡んでいる。ポイントは3月初旬に開かれる全国人民代表大会(全人代)。日本の国会にあたるこの大会で、各省庁に割り当てられる1年分の予算が決まる。海軍がここでの予算獲得のため、尖閣危機をあおる公算が大きい」(鍛冶氏)

 中国では例年、全人代が近づく2月になると各省庁間で予算の分捕り合戦が始まるが、海底に豊富な地下資源が眠る尖閣の奪取は、海洋資源の権益を握る海軍にとって悲願。彼らにとって尖閣での有事は「予算獲得」と「権益拡大」の一石二鳥を狙える大きなチャンスでもあるわけだ。

 中国情勢に詳しいジャーナリストの宮崎正弘氏も「尖閣有事は海軍にとって、予算獲得の格好の理由づけになる。一方、(昨年、党中央軍事委員会)副主席に新任された許其亮は元空軍司令官で、現体制下で、空軍の存在感も急速に高まっている。領空侵犯にまで挑発をエスカレートさせているのは存在感をアピールする狙いがあるはずだ」と指摘する。

 人民解放軍の権力闘争に利用される尖閣。「2月危機」が現実化した場合、どのような事態が起きるのか。鍛冶氏は最も警戒すべき事態を次のように解説する。

 「偵察用の無人機を飛ばしてくる可能性がある。島に不時着させるような事態になれば、中国に上陸を許す口実を与えてしまう。日本側が回収して中国に返還するのが本来の手順だが、向こうは『自国の領土』と言い張っている。強硬に自主回収を求めてくれば、日中間の新たな火種となる」

 機体が領海内に落ちても安心はできない。そこを足がかりにして島に不法上陸し、そのまま居座ってしまうことがあり得るからだ。

 「その場合は民間人を利用するだろう。漁民を大量動員し、1000隻近い漁船で尖閣を取り囲み、強引に上陸…という実力行使に出るはずだ」と鍛冶氏。

 付け入る隙を与えない防衛策の整備が急務だ。

 

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