最新の「10式戦車」誕生は国産製造・開発を続けた成果

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2013.06.04


陸上自衛隊の最新主力戦車「10式戦車」=静岡県・東富士演習場【拡大】

 今、戦車が脚光を浴びている。

 ゴールデンウイークに千葉・幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議2」では、最新の「10(ヒトマル)式戦車」が会場に展示され、安倍晋三首相も乗り込むなど、今だかつてない試みがなされた。三菱重工業をはじめとする製造企業が参加してのトークショーも行われ、多くの人々が興味深く耳を傾ける姿があった。

 さらに5月13日にはDVD「よくわかる! 陸上自衛隊〜陸の王者 日本を守る戦車の歴史〜」が発売され、瞬く間に約1万5000枚を売り上げてオリコン週間ランキングで総合首位となるなど快挙を成し遂げている。

 「冷戦の時代は終わった」などとして、戦車も過去のものとイメージされてしまい、かつて1200両保有していたものが3分の1ほどに削減されたが、それでも「灯を絶やしてはならない」と、国産戦車の開発・製造を続けたからこその成果である。

 戦車の意義が軽んじられる完全な逆風下にありながら、10式という新型戦車を誕生させた関係者の苦労は並大抵ではなかっただろう。

 しかも、最新の10式は、現在の主戦力である90式の50トンと比べて44トンと軽量化に成功した。これまで90式は輸送が困難などの理由から北海道での運用にほぼ限定されていたが、10式は本州全土に行動範囲を広げることが可能となったのだ。打撃力と防護力に加え軽量化をさせたことは大きな進歩だ。

 また、GPSなどを駆使した「C4Iシステム」(指揮、統制、通信、コンピューター、情報)を備え、戦車同士はもとより、指揮所や歩兵とが互いの位置や状況を共有することができるなどのハイテク技術により、ゲリラ対処や市街戦での使用も想定されている。

 日本製鋼所が製造する砲身部分は、これまではドイツのラインメタル社のものをライセンス国産していたが、この度、国産となり、しかも「これまでよりもブレがなく安定している」と、運用側からの評価が高い。

 つまり、戦後60余年かけて日本の戦車は「独立」を果たしたと言えるのである。

 実際、戦車を国産できる国は世界を見渡しても、そう多くはない。米国、ロシア、英国、フランス、ドイツ、イスラエルなど数えるほどで、それに追いつこうと中国や韓国が必死になっている構図なのだ。

 装備のハイテク化、無人化そして共同開発といった世界の潮流がある中で、どんな先進国もいまなおオリジナルの戦車を志向していることは、軍事を考える上で重要なポイントではないかと思う。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「誰も語らなかった防衛産業」(並木書房)、「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)など。

 

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