【突破する日本】慰安婦問題は「事実」を国際社会に発信し続けるしかない

2013.06.07


ソウルの在韓日本大使館前に設置された「慰安婦の碑」(加藤達也撮影)【拡大】

★(4)

 確かに、慰安婦は存在した。日本軍の兵士たちが性欲処理のために彼女たちを利用したのも事実だ。軍当局も性病防止などのために衛生管理したが、軍や官憲が朝鮮半島の女性たちを奴隷狩りし、強制的に働かせた事実も、それを示す証拠もない。

 慰安婦の募集や慰安所の運営は民間業者が行い、慰安婦の大半は日本人で、朝鮮人、中国人もいた。売春が合法的な時代であり、慰安婦の中には高額の収入を得る者もいた。

 以上が、慰安婦に関する事実だが、韓国の人々は本来、小説の作り話だった慰安婦奴隷狩り説を真に受け、日本を批判し始めた。矛先は次に韓国政府に向き、日本に弱腰と非難した。

 手を焼いた韓国政府は日本政府に、「慰安婦制度に当時の軍や官憲が関わったことにしてまずは一度謝ってくれ、これっきりにするから」と頼み込んだ。そうして出されたのが河野洋平官房長官談話だった。

 韓国は大統領が代わると政治がリセットされる国だ。前大統領は逮捕され、死刑判決を受ける。自殺に追い込まれた前大統領もいる。そんな国であるから、政権が代わると日本政府との約束は反故にされた。

 それどころか、「日本政府は軍や官憲の関与を認めたではないか」と嵩(かさ)にかかり、さらには慰安婦を「性奴隷(セックス・スレイブ)」であったと国際社会に宣伝し始めた。

 「性奴隷」との宣伝は語感もあって大いに成功し、国際社会、特に米国ではナチスのユダヤ人虐殺(ホロコースト)と同じ扱いを受けるようになった。真実かどうかは問題ではない。「政治的正しさ(ポリティカル・コレクトネス)」と化したのだ。

 こうなれば、奴隷狩りのように慰安婦を強制連行した事実も、証拠もないと言っただけで「政治的正しさ」に抵触する。日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)の発言が国際社会や外国人ジャーナリストから一斉に批判されたのはそのためだ。

 ソウルの日本大使館前には慰安婦の像が置かれ、日本大使館をにらみ続けている。未来永劫(えいごう)、日本を慰安婦問題で責め続けるという意志の表れだ。

 慰安婦についての国際社会の誤解を解くのは容易ではない。韓国が20年かけて国際社会に嘘を定着させたように、日本政府も戦略的に取り組むべきだろう。安倍政権に河野談話の撤回を迫る向きもあるが、撤回を口にした瞬間、国際社会から非難を浴び、政権は瓦解する。

 中国、韓国の歴史問題を利用した日本たたきは成功しつつある。時間はかかるが、事実を国際社会に発信するしかない。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ)1962年、広島県生まれ。早大法学部卒業。同大学院政治学研究科博士課程中退。国家、教育、歴史などについて保守主義の立場から幅広い言論活動を展開。第2回正論新風賞受賞。現在、高崎経済大学教授、安倍内閣が設置した教育再生実行会議委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長。著書に「国民の思想」(産経新聞社)、「日本を愛する者が自覚すべきこと」(PHP研究所)など多数。

 

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