【解剖・維新の会(下)】橋下氏絶叫「政治の火消さないで」“政界の孤児”の危機

2013.07.29


参院選の選挙戦最終日、「最後の訴え」で熱弁をふるう日本維新の会の橋下徹共同代表=7月20日、大阪・ミナミ(志儀駒貴撮影)【拡大】

 「僕たちのわがままなんです。大阪でのローカルな課題の話なんでね」

 27日に開かれた日本維新の会の執行役員会で、大阪改革への専念を理由に、共同代表の大阪市長、橋下徹とともにいったん辞意を表明した幹事長の大阪府知事、松井一郎。大阪からの党運営の限界は否定したが、「われわれには大阪から離れられない役職がある。やっぱり(日頃から東京側の幹部と)顔を合わせた方が、物事は伝わる」と語った。

 松井は国会運営のほか、橋下とともに必要性を説く野党再編に関しても、他党との折衝からは基本的に身を引き、幹事長代行の松野頼久に委ねる考えを示した。ただ、衆院解散がない限り3年間は国政選挙がないと目される中、巨大な与党勢力に対抗するため早期の再編を志向する橋下や松井に対し、東京側幹部のスタンスは微妙に異なる。

 「(議案の共同提出など)一歩一歩他党と行動をともにしながら、その先に再編ということがあるのではないか」。執行役員会終了後、記者団に語った松野。傍らで松井は黙って聞いていた。

■「もう脅しは利かない」

 橋下らが標榜(ひょうぼう)する野党再編は、維新とみんなの党、民主党の一部が合流する新党結成だ。だが、道のりは険しい。維新とみんなは政策面で共通点が多く、松井とみんな幹事長の江田憲司には一定の信頼関係があるが、同党代表の渡辺喜美は、昨年8月に橋下に合併を提案し、袖にされたことへの遺恨もあり、維新との連携には否定的だ。

 「今すぐ再編を仕掛けるというのは、あまりにも拙速。維新内の理念の不一致をきちんと見ておくべきだ」。渡辺は25日、みんなの両院議員総会で訴えた。その2日前に開かれた同党役員会では「国会議員として責任ある立場から発言してもらわないと、話は先に進まない」と大阪市長の橋下を揶揄(やゆ)し、参院選直後の22日には「維新の中で再編をされたらいかがですか」と皮肉った。

 「これまで永田町は、大阪の改革がどんどん進み、それを全国の人が拍手喝采するのを恐れて橋下氏を怖がっていた。でも今は橋下氏の足元が揺らいでいる。橋下氏の脅しは永田町にはもう利かない」。みんなのある幹部は冷ややかに語った。「自民も絶対安定多数をとった今では維新はお呼びじゃないし、近づかない。そうなると維新は“政界の孤児”になるだろう」

■大阪でも…

 橋下らが辞意表明の理由とした、大阪都構想の推進など「大阪の諸課題への専念」も、風雲急を告げている。参院選での維新の伸び悩みを受け、地元の自民や民主など反維新勢力が勢いづいている。

 大阪都構想は来年6月ごろに新しい特別自治区の区割りや財政調整などの制度設計を終え、来年秋の住民投票で信任を得て平成27年度にスタートする計画だが、他党の反対は根強く、道筋は定かでない。橋下、松井が目玉施策とした府域の水道事業統合は頓挫し、大阪市営交通の民営化は市議会で継続審議となり、たなざらしになったままだ。

 昨年の衆院選で協力関係を結んだ公明にも変化の兆しがある。公明内部に都構想への否定的な見方があるとともに、国政で連立を組む自民との関係も無視できない事情がある。「もう十分協力はした。これからは一つずつ抵抗する。言いなりになってばかりはいられない」。公明の大阪市議団幹部は手ぐすねを引く。

 今年9月には、橋下が4年前に支援し、その後都構想をめぐって反旗を翻した現職とぶつかる堺市長選も控える。現職は自民、民主のほか、公明にも推薦を依頼する構えを見せている。

 四面楚歌(そか)の橋下。参院選の最終日、大阪・ミナミでの「最後の訴え」で絶叫した言葉が、本音として浮かび上がってくる。

 「維新の原動力は大阪。ここで新しい政治の火を消さないでください」

(敬称略)



 花房壮、梶原紀尚、高久清史、中井美樹、西岡瑞穂、高瀬真由子、江森梓、藤井沙織が担当しました。

 

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