「自衛隊関連企業6割黒字」 誤解を与える分析データ

★(65)

2013.09.10

 防衛産業に関する気になるデータが出ている。7月末に帝国データバンクが発表した「防衛・自衛隊関連企業の実態調査」だ。

 防衛関連企業についての調査は今回が初めてとのことである。調査を実施した背景は、自民党が政権を取り戻したことにより防衛費の増額など防衛政策が転換期を迎える可能性があるとして、関係企業の業績動向などを分析したとしている。

 読み進むと、自衛隊に関係する企業は全国で4568社で、そのうち6割が黒字企業であるというくだりがあり「おっ?」と目についた。

 「防衛・自衛隊関連企業」というのは、業種別では、医療機器や食品などを扱う卸売業が全体の32・7%と最多で、以下、基地における工事などを担う建設業が29・1%、そして、肝心の装備品や缶詰などの糧食などを作る製造業は14・8%で、以下サービス業が13・1%、小売業が8・5%などと続くということである。

 調査の「まとめ」として「(前略)兵器製造分野の製造業者を中心に、2次、3次の取引先まで含めれば国内には1万社程度の関連企業の裾野があるとみられる。収益状況を見ると、毎年6割強の企業が黒字を確保するなど、防衛産業には需要の底堅さはある…」と記されているのだが、ここがやはりどうしても引っかかってしまう。

 これだけを見ると、まさに「防衛産業はもうかっている」という印象だが、『ニッポンの防衛産業』を読んでくださっている読者の皆さんには、それが誤解であることを十分ご理解いただけると思う。

 では、なぜこのような結果に? おそらく答えは簡単ではないかと思う。要するに防衛以外の部門で黒字を続けているような企業でなければ防衛省・自衛隊の仕事などできないということではないだろうか。

 また、競争入札制度は結局、体力のある大きな企業が勝ち残ることになってしまうという事実も、こうした調査から読み取ることができそうだ。

 調査では、この分野は輸出ができないなどの制約から「必ずしも青天井の成長産業ではない」とも記しているが、安倍政権になったことで「防衛予算を含め企業を取り巻く環境は今後上向いていくことも予想される」と締めくくっている。

 これはまさに基盤維持のために望まれることである。しかし、外国からの買い物ばかりでは「予算増」=「国内企業の業績向上」になり得ないという点にも留意されたい。

 世の中にはさまざまなデータがあり非常にありがたいが、一方でそれらを受け取るわれわれには「分析を、よりしっかり分析する能力」も必要かなとも思う。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「誰も語らなかった防衛産業」(並木書房)、「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)など。

 

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