未納、欠品、納期遅延は当たり前…兵器「FMS取引」の制度改善急務

2013.10.22

 海外の装備品を買うことを一般的には「輸入」と言うが、実はこれには「一般輸入」と「FMS」という方式がある。そして、これらは似て非なるものだ。一度、整理しておきたい。

 FMS(Foreign Military Sales)とは、米国製の兵器を同盟国に有償で提供する「有償援助」のことで、米国防総省が行っている制度だ。輸出窓口は兵器製造メーカーではなく、米国政府となる。

 一般輸入は、商社などを通じて取引するため「価格が割高」といった見方がある一方、FMSは「輸入よりも安くて早く装備化でき、教育・訓練も提供してもらえる」と魅力的に捉える関係者も多い。

 しかし、うまくいけば確かに非常に効率的だが、その実態は、かなり苦労が多いようだ。

 会計検査院の調査によれば、FMSによる装備や技術などの提供がすでに終わっているのに、未清算金が517億円あるという。これは、支払いは前払いであるにも関わらず、現物が届いていなかったり、実際に行われた支援が約束の内容と違ったなどの事例が積み重なったとみられる。未納、欠品、納期遅延がいかに多いかが分かる。

 また、米国試験場の提供や支援などについて先方の人が1人少なかったなどの細かいことは日本側がかなり厳格にチェックしなければ分からない。互いの感覚の違いもあるが、そもそもFMSの契約書に詳細な価格内訳がないのである。

 納期遅延も数カ月にとどまらず、3年〜4年などというケースもあるという。そうなると一般輸入よりも「早い」とはとても言えない。さらに、理由は明らかでないが、価格が高騰することも少なくなく、2倍、3倍も珍しくない。

 一般輸入では商社が介在するため、トラブルを引き受けてくれるが、FMSで何か起きれば、問題解決はまず難しい。契約上、多少の不良品が混ざっていていても文句を言えないとか、米国の提示価格に従うなどと決められている。これは日本だけでなく米国とFMS取引をする国々は全て同じ条件なのだ。

 ちなみに、わが国を含むいくつかの国が同じ物を同時に発注した場合、日本の優先順位は下位に位置するとも聞く。戦争をしているわけではなし、そんなに急がないと思われているのだろうか…。

 いずれにしても、修理も母国に送らねばならないため、維持・整備で日本企業が関与できる一般輸入のように、いずれはライセンス生産→国産へという望みも持てない。国内産業へのメリットがないばかりか、何より運用現場が苦労することを考えると、もう少し制度の改善はできないものかと思ってしまうのである。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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