装備品輸出解禁の落とし穴 求められる細心の注意

2013.11.12

 このところ、世界各国が日本の装備品に対して熱視線を注いでいるようだ。現政権が「武器輸出3原則」見直しに積極姿勢を示していることもある。装備品を輸出できるようになれば、「企業が潤う」→「防衛生産・技術基盤維持につながる」と認識する向きが多いようだが、これは決して正しくないと繰り返し述べてきた。

 正確には、輸出ができれば「外交に資する」→「日本の国力となる」と言った方がよく、防衛産業の全てが歓迎しているわけではない。

 「輸出がOKになったら、防衛事業から撤退します」

 そう断言する企業もあるほどだ。世間の認識と現実とは格差がある。これには各社それぞれの理由がある。そもそも防衛装備品を扱っていることは企業イメージとしてマイナスであり、あえてその分野が目立つことをしたくないとか、過当競争にのみ込まれるリスクもあるなどさまざまだ。

 「自衛隊が使うためにやってきたんです」という声は多く、他国で使われることを良しとしない心情もある。つまり、輸出を解禁したら企業が喜々として世界市場に躍り出るなどというのは幻想に近いのだ。

 日本企業がこれまで自衛隊とともにやってきたのは、防衛省が1970年に制定した「国を守るべき装備は自ら整えるべきものであり、装備の自主的な開発、国産を推進する」とした、いわゆる「国産化方針」があったことも大きいだろう。

 しかし、近くこれを見直すことになっている。共同開発が世界のトレンドである背景もあり、時代に即した文言にすべきだとされているが、これには細心の注意を払うべきである。

 まず、「国産化」の文字を削除するということであれば問題がある。共同開発はその国に技術があるからこそ加われるのであって、何もなければお呼びでないからだ。双方は相反するわけではなく、むしろ「国産化」があって初めて共同開発に入れると考えれば、原則として国産化とするなどの表現で明記する必要があるだろう。

 「すでに輸入もしていて形骸化している」

 という声も聞くが、国産では要求を満たさない物については輸入は当然でも、できる限り国産化する方針があるとないでは大きな違いがある。

 日露戦争で満洲軍総司令官を務めた大山巌元帥は『兵器の独立なくして国家の独立なし』と言い残している。日本人はこの言葉に常に真摯に立ち返り、向き合うべきではないだろうか。

 国産を追求するのは、日本の防衛産業のためなどではない。独立国として当たり前のことなのだ。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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