「日本版DARPA」設立で大学の根強い誤解を正す 防衛装備は人助けに必要

★軍事技術を一般公募する米国システム踏襲

2014.02.04


安倍首相(左端)は教育再生実行会議で、高度な人材育成を訴えた【拡大】

 「『大学力』は、国力そのもの」。

 教育再生実行会議における、安倍晋三首相のこのあいさつが持つ意味は大きい。

 「これからの成長産業を支える高度な人材を育成することは、成長戦略の要であり、その鍵を握っているのは大学である…」

 これはぜひ、防衛技術戦略にも当てはめていただきたい。そのためには、大学に根強く残っている「軍事アレルギー」を、まずは治療しなければならない。これは「取り除く」というよりも、「誤解を正す」と言った方が適切かもしれない。

 以前、ある国立大学を訪ねた際、戦時中に開発された物が「人殺しに使われていた」から、葬りたい過去だという。何かと思ったら、予科練の体育教育で使われていただけだと分かり、返す言葉を失ったことがある。

 しかし、こうした偏見をもつ人々に対し、防衛装備は「人助け」のために必要であることを根気よく理解してもらうプロセスが欠かせないだろう。

 米国には最先端の科学技術を軍事に転用するための仕組みが出来上がっている。DARPA(国防高等研究計画局)と呼ばれる組織がそれにあたる。インターネットやGPSもここで誕生した。

 研究はすべて一般公募で、国外からも応募ができるため、固定観念にとらわれない世界中の自由な発想がここに吸い寄せられると言っていい。「受け皿」と「援助」は研究者にとって何より有り難いものであり、それに加え、成果が目に見えることや、実績への評価や名誉を確立させることは相当なインセンティブになるだろう。

 さて、わが国でも同様のスキームを作ろうという考えがかねてよりあったが、この度、それが安倍政権誕生に伴い結実した。いわば「日本版DARPA」が立ち上がることになったのだ。

 「革新的研究開発推進プログラム」(ImPACT)である。プログラムマネジャーが各界から有能な人材を集めてチームを編成し、1つの研究を進めるという。550億円の予算が投じられた。

 これに対し、中国の専門家は「日本の武器開発・設備・輸出が循環を形成し、軍需産業の台頭を力強く促すことになる。日本は米国に次ぐ世界2位の技術大国であり、その産業が軍事技術の開発に転じれば、開発できないものはなくなるだろう。これは自衛隊の武力拡張の足かせを解き、アジア太平洋、さらには米国の深刻な脅威となるだろう。日本版DARPAの発足は、危険な信号になる」(中国網)と警戒感をあらわにした。

 中国では、研究開発費などが軍事費とは別枠と言われる中で拡大を続けている。ImPACTはその中国に学んだものだといえばいい。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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