【都知事選を終えて 日本はどこへ行く】橋下市長の辞任に伴う出直し選挙 ボイコットにこそ正義あり

2014.02.14


橋下氏が仕掛けた出直し選挙を、大阪市民はどう受け止めるのか【拡大】

★(3)

 大阪市の橋下徹市長(日本維新の会共同代表)の辞任に伴う出直し選挙について、自民、民主、公明各党などがボイコット作戦を取ることの是非が問われている。私は「ボイコットにこそ正義あり」と支持したい。

 首長選では、知名度に勝る現職が圧倒的に有利である。知事選でいうと勝率は90%を超す。国政と違って、落選した対立候補は地方議会で議席を持てないので野党代表になれず、ただの一般人になる。首長と同程度に、地元マスコミに登場することは不可能である。

 特に、改選時期の前に行われる繰り上げ選挙は、現職がさらに有利である。新人候補は短時間で選挙準備をするのは難しい。県議会で不信任された場合でも、高知県の橋本大二郎元知事や、長野県の田中康夫元知事などは、出直し選挙でやすやすと再選を果たした。

 このためか、任期満了前に突然に辞任して再出馬する首長が増え、師走から新年をまたぐ選挙日程にして対立候補を出馬しにくくさせる悪質なケースも出てきた。そこで、公職選挙法が改正され、出直し選挙に現職が立候補しても、任期はもとの残存期間だけにしたほどだ。

 そういう事情であるから、現職の橋下氏が再選されても「信任を得た」とはまったくいえない。

 しかも、これまでの繰り上げ選挙は、不信任案が可決されるとか、それと同等の場合に限られていた。ところが今回は、大阪都に移行する場合の大阪市内の区割りについて、市会議員からなる法定協議会が市長の希望するスケジュール通りに決めてくれないため、「市長選に勝ったら野党を協議会から排除したい」というだけのことだ。

 この状況に大阪市民の反応は複雑だ。

 朝日新聞の世論調査では、この出直し選挙をすることについては、「反対」が56%、「賛成」は34%だった。橋下氏の支持率は46%(不支持は41%)で、初めて50%を割った。昨年11月に大阪府民に行った世論調査では、大阪都構想に対する支持も反対を下回った。

 一方で、維新以外の党も「候補者を立てるべきだ」と答えた人は59%で、「そうは思わない」は29%だった。橋下氏に反対の人が「意思表明の機会を与えてほしい」という希望や、日本人的に「戦わないのは卑怯だ」という心情も反映されているのだろう。だが、現実に出直し選挙が本質的に現職有利であることを、よく知らない意見ではないか。

 対立候補を立てて負ければ、橋下氏が、その結果を悪用することが分かっているなかでは、ボイコットこそが正しい選択だと思う。

 ■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に「本当は偉くない? 世界の歴史人物」(ソフトバンク新書)、「日本史が面白くなる『地名』の秘密」(洋泉社)など多数。

 

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