日本の装備品が国籍を失い海外へ 武器輸出三原則は大きな問題

2014.03.11


安倍首相は参院予算委員会で、武器輸出三原則について答弁した【拡大】

 制服の自衛官からも、防衛産業のことを「出入りの業者」的に扱っているとしか思えない言動を聞くことがある。装備行政に携わった経験者は、決してそんな意識はないが、あまり親身になると、癒着だ何だと言われかねず、わざわざイジワルなことを言ったりする人もいるようだ。

 倦怠(けんたい)期の夫婦、と言ったら例えが下世話だが「いつまでも付いてくる」とのおごりが全くないと、官側には言えるだろうか?

 下手を打った奴は退場せよ! それをかばう者は許されない! といった綺麗ごとでは本来、割り切れないのがこの世界だ。それはナゼかと言えば、防衛生産・技術基盤が喪失されれば(ライセンス生産や維持・整備も含めて)、最も困るのは現場の自衛官だからだ。

 「だから不正を行っていいハズはないだろう」

 この主張は至極もっともである。しかし、防衛産業をめぐる「悪いこと」は、一般常識的な感覚では、むしろ国のためとなっていることも多くある。

 どこか僻地(へきち)に修理に出掛けていっても、交通費や滞在費も全て認められない、赤字の作業と知りながらも責任感で担えば、社内経理には激しく責められる。考慮されない経費が多過ぎることに端を発するいわゆる「過大請求」は厳しく断罪される…などである。

 一方で、気になる情報がある。装備品の情報などを扱っているデータクラフト社によれば、日本企業の製造部品が米国などをはじめとする「海外製品として」売買されているというのだ。その数は8万2000件にものぼるという(件数は2009年調べ)。

 以前、NATO(北大西洋条約機構)諸国など世界のあらゆる装備品が13桁のナンバーを付けて管理され、多国間でやりとりされているシステムがあることを書いたが、そこに日本製品も登録されているというのだ。

 米国主導で構築されているこのシステム、NATO以外の国で枠組みに参入するには「ティアツー」というランクに位置しなければならない。言うまでもなく、わが国は多国間やりとりの「とり」しかできない「ティアワン」国である。つまり、買うことしかできない国のはずだ。

 ちなみに、「ティアツー」に上がるにはNATO諸国の承認が必要で、韓国などは長年の苦労の末にこれを達成した。日本はF35取得を決めた時点で、その必要に迫られているはずなのだが、「武器輸出三原則」をどうするかがまだ国内では大きな問題であり、そこまで議論が熟していないのが現実だ。

 そうこうしている間に、日本の物がこの仕組みの中に登録されていた。しかも、それらは「国籍を失っていた」のだ。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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