武器輸出3原則の議論の傍らで日本製品を各国の軍に供給

2014.03.18


与党・安全保障プロジェクトチームの会合=12日、衆院第2議員会館【拡大】

 「これじゃあ、外国企業の『下請け』じゃないか…」

 日本の製品が他国の企業に籍を移している、それも8万2000件という数である(2009年調べ)。その事実を知った関係者はがくぜんとした。武器輸出3原則を緩和するか否かを議論している傍らで、すでにこのように日本の物が世界各国の軍に供給されているのである。

 「これだけ物が出ていっているのだから、今さら緩和の是非も何もないだろう」

 実情を知る人ほど、そんな冷めた目で昨今の議論を眺めている。問題はそれよりも、これら8万2000件をすでに超えているであろう物品が、27カ国の外国企業に籍を置いており、それらが日本国籍を取り戻せるかどうかにある。

 「日本が(米国主導で構築されている世界の装備品管理システムのランクで)『ティアツー』に昇格すれば、国籍を戻してもいいのです」

 ルールは寛容だ。何も日本製品を排除しているわけではない。日本がそもそも自らを規制しているために外国製品として取引しているのであり、「ティアツー」すなわち、買うだけでなく売ることもできるランクに上がればいいだけなのだ。

 今のところ、日本が「ティアワン」に甘んじているのは言うまでもなく「武器輸出3原則」の縛りを受けてのことだ。

 当然、日本の防衛力の肝となる装備品にやたらめったら13桁のナンバーを付けて登録し、38カ国で共有していいなどとは誰も思わない。国内の外為法や輸出管理の法令にのっとることは言うまでもないことだ。

 ちなみに、そういう観点から見れば、この3原則というものは法律ではなく、また、合法的武器輸出は十分にあり得るということでもある。

 それにしても日本人が物も、あるいは心も外国企業に売り渡し、外国企業の一部分として商売をすることは許されて、メイド・イン・ジャパンの装備品が世界で生かされることはまかりならぬというのでは道理が通らない。

 日本製品が国籍を変えた27カ国の中には、韓国も含まれている。韓国は在日米軍航空機の整備事業など、日本企業が担っていた分野にも進出してきている。そのうち自衛隊が運用する米国製の航空機整備にも乗り出してくることが十分考えられ、自衛隊関係者は神経質になっているが、何とも力が抜ける話だ。しかし、韓国は「ティアツー」昇格を果たしているので仕方がない。

 国籍を移した日本の物品の中には、柔道着もあるという。米軍などが訓練で使うのだろう。軍で使用する物は何でもこのシステム内でやり取りされるのだ。いずれにしても、日本製なのに日本製でない柔道着には違和感を覚えざるを得ない。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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