「武器輸出」にGCIP適正化は不可欠 余力がない企業は消極的に

2014.03.25


防衛生産・技術基盤を議論する自民党防衛政策小委員会【拡大】

 いわゆる「武器輸出3原則」が、いよいよ「武器輸出新原則」に変わりそうだ。

 私は再三に渡り、この施策と「防衛生産・技術基盤」の維持は、別のものとして考えるべきと訴えてきた。

 あまりしつこく書くと、「原稿が間に合わないから、過去のものをコピペしてるんじゃないか?」と思われそうなので、しばらく触れずにいようかと思ったが、やはり、これだけ議論が噴出していると繰り返し叫ばざるを得ない。

 「これからは、防衛産業も儲けるつもりでやるべきだ。そのためには輸出にも門戸を開かなければ…」

 日本の国防をどうにかしなければという思いが強いほど、そうした見解を示す向きは多いようだ。

 しかしながら、ここには2つの誤解が含まれている。

 まず、防衛装備品の価格はGCIPといって、コストに一定の利益を乗せる方式で算出するのである。つまり利益率は決まっているのだ。

 これは、儲けさせ過ぎてはいけないという配慮から(!?)か、非常に低利である。ただし、市場で流通する物のように大損をするようなことはないというのが、この方式のメリットといわれていた。

 ところが、競争入札による価格競争があり、また、認められない経費の割合が多いと、その論理は成り立たず、実際は赤字を出してしまうケースも出ている。

 とにかく、防衛装備品には、こうした前提があるために、仮に「たくさん儲けてもらおう」としても、防衛費がうなぎ上りに増えて調達数量が増加の一途を辿るなどということがない限りは仕組みとして無理なのだ。

 では、輸出ができるようになれば、従来のように自衛隊向けだけではないので、儲かる価格設定ができるかといえば、そうもいかない。

 現時点では、日本の装備品は、海外製品と比べて小ロットであるため高額にならざるを得ず、世界市場での競争においては、価格を抑制することもあるだろうし、輸出品向けの新たなライン立ち上げやら、営業部門の拡大、その他、諸々の手続きなど必要な投資があり、ただでさえ青息吐息の状態だったところに、かえって体力を消耗させることになりかねない。

 企業によっては余力があり(防衛以外の部門で利益が出ている会社は)、チャンレンジできるであろうが、多くは消極的だろう。

 政府や与党が前向きに努力しているのだから輸出をやりなさい、と言っても難しい問題だ。やはり、GCIPを適正化しなければ、現状維持も困難であるし、その先に進むこともできないのではないだろうか。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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