弾薬は均一性が命 ソフトスキルは他国に類を見ない

2014.05.13


旭精機工業【拡大】

 昭和34(1959)年、当時の通産省の主導で合併が図られ、旭大隅工業は現在の旭精機工業となって日本で唯一の小口径弾メーカーとして新たなスタートを切った。

 銃弾というのは主に、弾頭、発射薬、雷管、薬莢(やっきょう)から成っている。同社の場合、弾頭と薬莢は自社製であるが、それ以外は他社が製造する。

 それゆえ、もしそれらのうち1つでも会社が倒れてしまうと、特殊な技能だけに代わりの担い手がおらず、総崩れになってしまう関係にあることは特徴的だ。

 国内では製造元も少なく、外国でまとめ買いをすれば安くあがるということで、昨今はよく「弾薬は輸入した方がいいのではないか」という声が出ている。しかし、ここにやはり、わが国の装備品をあまり理解していない人たちがまだ多いことがうかがえる。

 日本で初めて完成させたNATO弾は、西側諸国の銃に適合させながらも「日本人の体格に適合すること」「反動の少ないソフトなもの」、さらに「命中精度は高いこと」といった独自の要求をクリアしたことはすでに述べた。だが、NATO弾という共通仕様のため「それならば国産でなくても何とかなるのでは?」と、どうしても考えられがちなのである。

 しかし、日本の場合は独自のニーズによってNATO弾よりも約10%発射薬量を減らした減装薬を使用することや、高い命中精度を要求されていることからも、「準国産」仕様だと言っていいものなのだ。小さな1つの弾に内在されるソフトスキルは他国に類を見ず、計り知れない。

 そして、忘れてならないポイントがある。

 「弾薬は均一性が命なんです」

 同社社長はこう語る。10個のうち9個が大丈夫でも、たった1つダメだった場合、一般の商品であれば残りの9個は使える。だが、ロットになっている弾薬は、たった1発のダメな弾が狙った所に当たらなければ射手は照準を変えるため、残りの問題ない弾も当たらなくなってしまう。それゆえに全ての弾が完璧でないとならないのだ。

 当然、銃とのマッチングも重要で、これができて初めて成功といえる。銃との適合性、命中性、均一性…これらを満足させるためには気の遠くなるような研究が繰り返される。発射薬を決めるまでには何年もかかるのだ。現在、自衛隊で用いられている89式小銃の5・56ミリ弾も10年以上かけて開発されたのである。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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