集団的自衛権法案採決 今後正念場を迎えるのはむしろ民主党 (2/2ページ)

2014.07.15

 思えば、民主党は昨年の参院選、一昨年の総選挙で大敗北を喫してから、主要政策についていっこうに党内論議が進まなかった。集団的自衛権問題は典型だが、実は国民生活に直結する経済政策をめぐってもそうなのだ。

 海江田代表は参院選前の党首討論で安倍首相に「どう経済を成長させるのか」と問われて「健全な消費を拡大する」と答えた。具体的には「子ども手当と高校授業料無償化を通じて(子育て世代の)手取り額を増やす。それで持続的な経済成長を目指す」と語っていた。

 これは「所得再分配で成長を目指す」という話にほかならない。子ども手当も高校授業料無償化も原資は税金である。政府は打ち出の小槌ではない。国民から徴収した税金を政府が国民に再分配するだけで経済が成長するのか。

 成長の源泉は活発な企業活動である。だから、政府の仕事は民間活力を最大限に引き出す枠組み作りになる。パイを再分配してみたところで、パイ全体は増えない。

 これは経済政策をめぐる基本の話なのだが、民主党は「再分配重視派」と「民間活力による成長重視派」に分裂している。格差是正を強調するのは再分配重視派だ。これに対して成長重視派は「成長がなくては格差是正もない」と思っている。

 経済政策に加えて安保防衛政策でも意見が一致しないとなると、もはや一つの政党でいようとするほうが無理ではないのか。集団の限界点を超えているのだ。民主党はさっさと分裂したほうがいい。

 たとえば前原や長島たちは橋下新党と一緒になる。残った左派系議員たちは共産党や社民党と緩いグループを形成する。そんな展開になれば、国民にとっても分かりやすい。わけが分からない政党でいるより、よほどすっきりする。他党にも刺激になるだろう。集団的自衛権をめぐる対応が野党再編の引き金を引きそうだ。

 (文中敬称略)

 文■長谷川幸洋:東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。政府の規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)。

 ※週刊ポスト2014年7月18日号

NEWSポストセブン

 

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