【しっかりして!永田町】安倍政権の女性活用策で子供が犠牲の現実 輝かせるは建前で経済刺激の本音

2014.07.24


安倍首相の女性活用策には異論もある【拡大】

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 アベノミクスの効果をより強化するため、安倍晋三政権は6月24日、経済財政運営の指針「骨太の方針」と、新成長戦略「日本再興戦略改訂版」「規制改革実施計画」の3つを閣議決定した。

 安倍首相が期待するのは女性の力だ。これは一昨年12月の政権発足以来、変わらない姿勢といえる。育児と仕事との両立を図るために、待機児童解消加速化プランなどを、施策の前面に出してきた。

 今度の「戦略」では、学童保育について2019年度末までに約30万人の受け皿を作るという。

 就学前の子供受け入れ先が整い、仕事を始めても、今度は学齢期になると、また居場所が課題になる。働く母親にとって、子供の預け先は大きな悩みであることは事実である。その悩みを解消して、より女性が社会に出やすくなる。また、組織では女性を積極的に採用し、管理職にも登用する。上場企業には、女性役員比率を有価証券取引書に記載することも義務付けた。

 安倍首相は、育児があっても仕事をすることが、女性を生き生きと輝かせることだと思っているようだ。ありがたいといえばありがたいが、世の女性たちがみな、そうであるとは思えない。この政権の女性活用策は、「女性を輝かせる」とは建前で、人口減少社会の中で不足する労働力確保や、世帯収入の増加による経済への刺激という本音もミエミエなのである。

 確かに、育児や家事代行などの新たな産業の活性は、日本の経済力を上げる一助ともなるかもしれない。だが、育児は他者に任せてでも日本の経済力を上げようというのは、国家戦略として間違っていると思わざるを得ない。

 女性も男性と同等に昇進を期待されるようになれば、当然のことながら正社員としてフルタイムで働くことを望まれる。しかし、13年度版の男女共同参画白書によれば、女性の就業希望者は約303万人。そのうち、正規雇用を望んでいるのは17・1%に過ぎない。71・9%は非正規雇用でいいと言っている。理由は「育児や家事をきちんとしたい」「介護があるから」という以外に、「責任を負う立場にはなりたくない」などもある。

 自らのキャリアを築きたいと思う女性もいる一方、理由はさまざまあるが、母親として、妻としての“キャリア”を自らの意思で選択している人が大多数なのである。

 その人たちに、もっと働け、そして、昇進を目指せというのは、ありがた迷惑である。さらにいうならば、安倍首相が女性の社会進出に積極的であるがために、いわゆる専業主婦として生きようとしている人たちが、肩身の狭い思いをしているのである。

 問題なのは、その先には「子供が犠牲になる」という現実があることだ。安倍首相は、母親を子供から引き離すことに積極的な国がよい国だと思っているのだろうか。

 ■細川珠生(ほそかわ・たまお) 政治ジャーナリスト。1968年、東京都生まれ。聖心女子大学卒業後、米ペパーダイン大学政治学部に留学。帰国後、国政や地方行政などを取材。政治評論家の細川隆一郎氏は父、細川隆元氏は大叔父。熊本藩主・細川忠興の末裔。著書に「自治体の挑戦」(学陽書房)、「政治家になるには」(ぺりかん社)

 

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