国際展示会ユーロサトリ初参加の“教訓”

2014.08.05


パリで開催された「ユーロサトリ」の日本パビリオンで、訓練用のゴム製銃の説明を受ける来場者(共同)【拡大】

 今年はとりわけ防衛産業をめぐる画期的ニュースが多い。その1つとして、6月(16日〜20日)にフランスのパリで行われたセキュリティー・ディフェンスの展示会「ユーロサトリ」に日本企業が参加したことがあげられる。

 各メディアも現地に赴き大きく取り上げるなど、注目度は高かった。ただ、新聞各紙の「ユーロサトリ」の説明を見ると「防衛装備品の国産展示会」や「兵器展示会」など、表現がバラバラで、日本中の認識が共有されていないことを物語っているようであった。

 そこで今一度、このたびの日本企業による出展の経緯やその意図するところなどをまとめてみたい。

 まず、世の中が相変わらず誤解しているのは、今回、日本企業が国際展示会に参加した理由として、政府が今年3月、従来の「武器輸出3原則等」を見直し、新たなルールを定めたことによって、ドンドン装備品輸出ができるようになった−というものだ。

 しかし、この連載などで繰り返し述べているように、まだまだ、そこまでには至っていない。ユーロサトリへの参加はいわば様子見のようなもので、他国のようにその場で商談を実施し、すぐに話がまとまるようなものではなかった。

 そもそも、今回、日本企業の展示は民生品であり、戦車を製造する三菱重工業もその部品のパネル展示と装甲車の模型を並べたまでである。日本ブースが並んだ場所も軍事ではなくセキュリティーのエリアだった。来訪者も軍関係者というより自社製品の売り込みにくる外国企業や代理店などで、次に多かったのは日本を中心としたマスコミだったという。

 それでも、熱心に質問を浴びせてくる外国人は少なからずいたようだ。

 「これはどれくらいの能力を持つんですか?」

 「距離など詳しい数字を教えてください?」

 そんな問いが絶えなかったというが、各社は話が細部に及ぶと「答えられません」としか言いようがなかった。

 情報収集の目的も考えられ、これまで長年に渡り厳しい情報管理体制を課せられてきた企業にとっては、他に言いようがないのである。

 「とても長く飛びます」

 「かなり速く走ります」

 などと懸命に説明するも、相手からは「何をしにここに来たんですか」とあきれられるばかりだったという。日本の防衛産業にとって初めてのユーロサトリへの出展は、ほろ苦い経験となったようだ。

 では、次のステップに進むにはどうすべきなのか。続きは、また来週!

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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