企業の展示会参加、まずは国の先導から

2014.08.12

 日本の防衛産業が今年初めて経験した「ほろ苦 ユーロサトリ(=パリで開催された、世界各国の防衛・安全保障に関連する製品の展示会)」は、いくつかの問題提起をしてくれた。

 まず、そもそも今回は、いわば「様子見」的な感覚であったが、それは日本側の勝手な事情であって、諸外国の人々には理解し得なかったこと。同時に今後、この「様子見」はいつまで続くのか。

 世界の兵器市場において、わが国がいかに振る舞うべきかも皆目、見当が付かない。まさに暗中模索の中で、次もこうした海外での展示会に多額の経費をかけて出かけていく必要があるのか。また、そんなことが各企業とも社内的に許されるのか、ということだ。

 「社内の理解を取り付けるのが、結構大変でした」

 そんな感想が少なからず聞かれたのは、やはり企業イメージの問題が大きい。6月といえば多くの企業が株主総会を控えている。本来の趣旨は、世の中で報道されているような「兵器の販売」などとは程遠いが、なかなか理解されていない。そんな中で、わざわざ波紋を呼ぶような行動はいかがなものかと考えるのは当然のことだろう。

 そして、社内コンセンサスを簡単に得られない理由は他にもあった。

 「電話やメールです…」

 ユーロサトリに参加することが決まってからというもの、各企業は「なぜ行くのか」「やめるべきだ」といった批判の声を浴びることになったのだ。

 このような逆風を受けながらも、各社がパリへ飛び立ったのはなぜか。それは政府が進めようとしている防衛産業施策を盛り上げるためと言っても過言ではないだろう。このあたりは、ぜひ安倍晋三首相にも知っていただきたいところである。

 いずれにしても、内外での理解を得るために骨を折らねばならず、今のところ商売につながるような成果は期待できず、なおかつ、お金がかかるという展示会への参加に、企業としていつまで付き合うことができるのかは不透明だ。

 よく、装備品輸出の話になると、国会議員でも「防衛省や企業は頑張って」などという先生がいるかと思えば、防衛省では「企業にチャンスが与えられたのだから努力するように」などといい、企業は「政治に決めてもらわなければできない」という反応のスパイラルが起きている。

 やはりここは、企業の言い分が正解だろう。国はこれらの課題としっかり向き合わねばならない。「ほろ苦 サトリ」が成功物語の1ページ目となるように。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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