安倍首相「2つの課題」 人気にはつながらない中朝カード

2014.08.24


今年2月、日露首脳会談で握手を交わした安倍首相(右)とロシアのプーチン大統領【拡大】

 安倍晋三首相は内閣改造を9月3日に行う方針を固めた。内閣の要の菅義偉官房長官、麻生太郎副総理兼財務相、甘利明経済再生相は留任させるものの、18人の全閣僚のうち、10人以上を入れ替えるという。60人もいるといわれる入閣待機組は、いまからソワソワしていることだろう。

 この内閣改造を機に、山積する問題の解決を示せるかどうかが、長期政権へのカギになる。

 麻生さんとは違って、安倍首相には驚くほど失言が少ない。話すときもまじめな顔をしている。だから、「ここが、この人の悪いところ」というものは、ほとんどない。ただ、安全保障や近隣外交に関して、従来とはかなり違う政策を打ち出しているので、安倍首相のことを好きな人と嫌いな人が極端に分かれている。そんな安倍首相の人気アップにつながりそうなアジェンダ(検討課題)は2つある。

 1つは北朝鮮に拉致された人たちを連れ戻すこと。組閣後しばらくして、安倍首相自らが政府専用機で電撃訪朝し、10人以上を連れて帰ってくるというシナリオも聞こえてくる。

 もう1つは、ロシアと平和条約を結んで、北方領土問題も解決するというものだ。

 ウクライナ問題をめぐって欧米各国が発動したロシアに対する制裁について、日本は最小限に抑えるというか、中途半端にやっている。米国はイライラしていると思う。今後、ロシアのプーチン大統領が来日するとなると、さらに米国は怒るだろう。しかし、それでも大統領訪日を強行したら、プーチン氏は大きな“お土産”を持ってくると思う。

 ほかにも、ガスのパイプラインをひくこと、ロシアで発電した電気を直接、引っ張ってくること、さらに使用済み核燃料の保管所に広大なロシアの土地の一部を借りること…など、ロシアと話し合いたい事項は多い。

 もしロシアと平和条約が締結されたら、景色が変わるはずだ。ロシアとの戦後処理をすることについては、米国の顔色をうかがうことはない。安倍首相がそこまで勇気を持ってやれるかどうか、試金石になる。

 ただ、政権の中枢にいる人に拉致問題について聞くと、少しインパクトが弱いようだ。それなのに、北朝鮮に対して経済援助のお返しなどをすると、国内では反発する人がかなり出てくるのではないか。

 ということで、私はロシアとの懸念事項を解決することが先決だと思う。ついでに言うと、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、中国の習近平国家主席と個別会談するというアジェンタもある。だが、安倍首相がよそよそしい習氏と会って通り一遍の「戦略的互恵関係」で一致した、などという発表を聞いて「よかったな」と思う日本人は、ほとんどいないはずだ。中国カードや北朝鮮カードは人気アップにはまったくつながらないだろう。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

 

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