防衛産業、理不尽な「不正行為の汚名」で後ろ指さされ…

2014.09.30


会計検査院が入る中央合同庁舎第7号館=東京・霞ヶ関【拡大】

 「ずさん」「骨抜き」

 先週の会計検査院による国会報告を受け、検査が行われた12社の企業には、いかにも不正行為が行われているかのような形容詞が付けられて報じられた。

 「お父さんは悪いことをしたの?」

 幼稚園から帰ってきた娘にそう言われ、ある防衛部門の若手社員は絶句した。社名が明らかになったことで、何も言わないが妻も少なからずショックを受けているようだった。ひたすら自衛隊のために心血を注いできた仕事なのに、なぜ世間に後ろ指をさされなければならないのか…。

 今回の事案に限ったことではない。これまでも、「水増し」「過大請求」と断じられてきた企業の関係者も皆、同じような経験をしてきている。

 そもそも、市場価格というものがない防衛装備品は、作業員数と労働時間をかけて工数を出し、それをもとに契約金額を算出する。そのため、企業側の管理体制が重要であることは明らかだ。

 しかし、だからといって、「性悪説」にのっとり、作業場に突然、乗り込んでいくようなことが健全な関係と言えるのかどうかは甚だ疑問である。

 当欄ではかねて指摘しているが、自衛隊と防衛産業を見ていると信じ難い常識(非常識?)が多々ある。その代表的なものは、改善策も出されてはいるものの、まだまだ問題が残る「超過利益返納条項」だ。

 これは製造にかかる原価(コスト)が下がった場合、その努力分を返納し、コストが高くなったらその分は会社側がのみ込むというものである。

 こんなことをしていれば、企業が赤字になってしまうのは当然で、そうなれば社内的には事業の存続が許されない。防衛事業を続けるためには、経費のはみ出した部分を足りていない別の契約に付け替えるしかないということになる。

 これが結果的に「過大請求」と言われているものの実態であることは繰り返し述べてきた。

 また、「契約前修理」というものも驚く。装備品に不具合が生じたので大急ぎで修理をしてほしいと言われれば、いつであれ企業の技術者は何十キロ何百キロもいとわず出向く。どこの調子が悪いのか、何が原因なのかと、じっくり丁寧に見て作業を行うことになるが、この経費は認められているわけではないのだ。

 「なぜそんなことを受け入れるんですか!」

 実情を知った人に、こんなふうに言われている防衛部門の人をよく見る。しかし、やはりなぜか多くの人がこの投げかけに声高に反論していない。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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