北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を強行したことを受け、かつてない強力な制裁決議が国連安全保障理事会で近く、採択される。東シナ海や南シナ海でも中国が軍事的行動を強めている。野党の廃止法案提出は、国民の募る不安に応えるものではない。
共産党幹部は昨年11月、「北朝鮮はリアルな危険ではない」と言っていたのに、核実験をやるや「現実の重大な脅威だ」と認識を変えた。北朝鮮を非難する決議は全会一致であった。
安全保障環境が厳しくなり、非難決議をしておきながら、安保関連法を廃止して、どうやって国民の生命と財産を守ろうというのだろうか。
民主党と維新の党は廃止に伴う対案を出したが、とても現実的な内容ではない。共産党と社民党は対案もなく、自衛隊すら違憲として認めていない。このような基本政策がまったく違う野党5党が、廃止で共闘することそのものが、国民に対して無責任と言わざるを得ないのである。
野党5党は選挙協力でも協議することで一致している。無責任な安保法廃止で一点共闘しても、その他の政策がバラバラでは、有権者はとても納得できないであろう。
与党には、有権者の声に耳を澄まし、国民の期待に応える真剣さが求められている。 (山口那津男・公明党代表)