桜井誠の「嫌韓」11万票は想定内? 縮みゆく東京の極右地図 古谷経衡(評論家/著述家) (2/4ページ)

2016.08.07

在特会デモに抗議する人々(今次都知事選挙の写真ではありません)(提供:Duits/アフロ)
在特会デモに抗議する人々(今次都知事選挙の写真ではありません)(提供:Duits/アフロ)【拡大】

  • <p>東京の「極右」票を無難にまとめた想定内の健闘</p>
  • <p>2014年都知事選</p>
  • <p>小池氏に逃げたネット保守層</p>
  • <p>ネット保守層の「自民回帰」が鮮明に…</p>

 このことから、桜井氏の基礎票もおおむね上限は8万程度で、今回の11万という得票数は、鈴木氏と同水準の基礎票にいくらか加味し、やや健闘したとはいえるが、それはあくまで想定の範囲内であり、特段驚くべき数字ではない(左図参照)。

■ネット保守層からの支持も2割弱にとどまる

 しかしさらに注目すべきなのは、2014年の都知事選(前回)における、事実上の非自民ネット保守による史上初めての統一候補である田母神俊雄候補との比較である。この選挙で、田母神氏は約61万票を獲得したのは周知のとおりである。今次都知事選挙は、前回よりもはるかに高い投票率だったのに対して、櫻井氏は田母神氏の6分の1程度(約18.7%)しか得票できず、2割に満たない。潜在的に桜井氏と親和性に高いネット保守からの支持の、その大部分を取り逃がした計算になる。

  その理由などこにあるのだろうか。まず第一に、ネット保守層からの根強い「行動する保守」に対する嫌悪感が存在する。ネット保守の多くは、在特会や桜井氏の主張に一定程度共感はするものの、その手法において強い嫌悪感を示してきた。在特会やその周辺が、「朝鮮人を海に叩き出せ」「不逞朝鮮人云々」と街頭に出て叫ぶスタイルには眉を顰める、という具合である。

 その点を考慮してか、今回、桜井氏の街宣スタイルからは、「朝鮮人を〇〇〜」などという過激な物言いは鳴りを潜めた。しかし、前述したようにゼロ年代後半から桜井氏の主導によって開始された街頭での排外的なデモや、ヘイトスピーチが、結句のところ2016年5月のいわゆる「ヘイト解消法」立法につながったことを有権者は鮮明に記憶しているのであり、この点において桜井氏を支持する人々はネット保守層の中でも非主流に追いやられたのである。

 今回、前回都知事選挙で田母神氏を支持したネット保守層の多くは、都有地韓国有償貸与問題(新宿区)を白紙にすると明言する小池百合子氏に投票した。増田氏は、筋論でいえば自民党主流候補でありながらも、過去の言動から「融韓的」と見られ忌避される格好になった。

 

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