荻原氏は「守秘義務違反かもしれないが、憲法には『国民の知る権利』が保障されている。これだけ世間の騒動となって問題化しているのだから、やむを得ない」といい、八幡氏は「文科省が『マル秘文書』として受け取ったものではないので違反ではないと思う。ただ、内部でのやりとりをペラペラ漏らすのはモラルに反する」と指弾した。
前川氏は会見で、「今の文科省は、官邸、内閣官房、内閣府といった政権中枢に逆らえない」「極めて貧弱な理由で規制緩和が行われた」「行政の公平性がゆがめられた」などと語り、加計学園の獣医学部新設に異議を唱えた。
これについて、元NHKキャスターである無所属の和田政宗参院議員は「旧態依然の官僚の言葉と感じる。規制改革は安倍政権の重要政策であり、官邸や内閣府が方向性を示すのは職務として当たり前だ。官邸に言うべきことを言い、激しいやりとりをしている省庁もあり、前川氏の言っていることは意味不明で恣意(しい)的だ」と語った。
八幡氏は「政治主導は、小泉純一郎政権に始まり、民主党政権でさらに進んだ。安倍政権で急に悪くなったというものではない。政治的なルールがありすぎるのは役人にとってはイヤなものだし、私も無原則な政治主導には疑問を持っている。ただ、それを極致にしたのは、民主党政権だ」と指摘した。
注目の会見で、最も違和感を覚えたのは、歌舞伎町の「出会い系バー」に頻繁に出入りしていることを釈明した部分だ。前川氏は「女性の貧困について実地の視察調査をしていた」「その場で話をし、食事したり、食事に伴ってお小遣いをあげたりしながら話を聞いたことはある」などと説明した。
この件は、捜査当局が、歌舞伎町での「管理売春」(売春防止法違反容疑)を内偵していたところ、前川氏をはじめ、複数の文科省幹部(OBを含む)が出会い系バーに出入りしていることを確認したのが発端である。
和田氏は「まったく説明になっておらず、何をしていたか真実を話すべきだ。調査は自ら行わなくても部下でもできる。連れ出しバーは『売春や援助交際の温床』との指摘もある。話を聞くだけでなく、連れ出した女性にお小遣いを渡す理由が分からない。文科省のトップが現職中に『広義の援助交際』を行ったとみられてもおかしくない。大問題だ」と批判した。