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元小結・富士錦の棺で歌った…床寿“涙のカラオケ”

床山初、日本プロスポーツ大賞功労賞受賞へ

 忘年会のシーズン、カラオケの季節だ。今年は経済ショックでマイクを握る気分になれない人もいるに違いないが、5年前の師走にも悲しみの涙を必死にこらえ、声を詰ませながら歌った大相撲関係者がいる。九州場所限りで定年退職した特等床山、というよりも横綱朝青龍の大銀杏を結っていたことで有名な床寿(65)=本名・日向端隆寿=だ。

 この床寿が今月25日、50年間も裏方として大相撲を支えてきたことが高く評価され、床山初の日本プロスポーツ大賞功労賞を受賞する。

 平成15年12月17日、現役時代、「平和ちゃん」という愛称で親しまれた先代高砂の一宮章さん(元小結富士錦)が慢性腎不全のため、66歳で亡くなった。午前中に自宅で倒れ、その日のうちに息を引きとるという文字通りの急逝だった。一宮さんは1年前に定年になっていたが、亡くなる1カ月前の九州場所中も福岡にひょっこり現れ、元弟子の錦戸親方(元関脇水戸泉)や床寿らと痛飲している。

元富士錦(クリックで拡大)

 この一宮さん、演歌が大好きだったが、どういうワケか、大川栄策の「さざんかの宿」と五木ひろしの「長良川艶歌」の2つしか歌わなかった。このときも、「親方、今夜はどっちですか」と床寿が言うと、「長良川艶歌だ」とニコニコ顔で答えたという。一宮さんの葬儀は5日後の22日にしめやかに行われた。その2日前の夜、床寿は酔った勢いで一宮さんの自宅にカラオケセットをかついで押しかけ、「親方、あんたの歌を一緒に歌おうヨ」と棺の前で一宮さんの2つの持ち歌を歌った。

 もともと歌手志望で、「晴姿櫓太鼓」という歌をビクター・レコードから出したこともある床寿だが、さすがにこのときは悲しみで胸がいっぱいになって歌にはならなかったという。「でもね。おかみさんは、お前の歌が一番の供養になったよって、とても喜んでくれたよ」と後日、床寿はしんみり話していた。

 日本スポーツ大賞功労賞の受賞に「まさかこんな賞をもらえるなんて。これも自分を育ててくれたいろいろな人たちのおかげですよ」と床寿は喜びを控えめに語っている。この受賞の夜、床寿はきっとどこかでマイクを握って歌うに違いない。

ZAKZAK 2008/12/15

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